Webリサーチャーの江原健太です。
「格安SIMにすれば通信費が下がる」。よく言われる話です。
ただ、各社の条件を調べていて感じるのは、乗り換えた全員が安くなるわけではないということ。
とくに家族割や光回線とのセット割を使っている人は要注意です。乗り換えた結果、世帯全体では前より高くなることがあります。
この記事では、確認しておきたい6つのポイントを整理します。判断を誤らない順番で並べました。
乗り換えで失敗する人に共通すること
失敗する人の多くは、月額料金だけを見て決めています。
でも実際の負担は、それだけでは決まりません。
端末の残債、違約金、オプション。そして「今まで受けていた割引が外れる分」。ここまで含めて初めて総額が見えます。
比べるべきは「新しいプランの月額」ではなく「世帯全体の総額が前後でどう変わるか」です。
この視点を持つだけで、乗り換えの判断精度は大きく変わります。
総務省も乗り換え時の確認事項を公開している
携帯電話の乗り換えについては、総務省が消費者向けにチェックポイントを公開しています。
違約金の有無、家族割やセット割への影響、端末の残債、オプションの解約忘れ。
どれも事業者側の広告では前面に出てこない項目です。
詳しくは総務省の乗換えのチェックポイントも確認してみてください。
確認1:今の「世帯全体の総額」を把握する
最初にやるべきは、乗り換え先探しではありません。今いくら払っているかを正確に知ることです。
明細で見るべき4項目
請求明細を開いて、次の4つを書き出してください。
- 基本料金(プランの月額)
- 端末の分割支払い(残債があと何回残っているか)
- オプション料金(保証・音楽・雑誌などの継続課金)
- 適用されている割引(家族割・光セット割・長期割など)
この4つのうち、乗り換えで消えるのは「基本料金」と「割引」です。端末の残債は乗り換えても支払いが続く点に注意してください。
家族の分もまとめて確認する
自分ひとりの明細だけを見ていると、判断を誤ります。
家族割は「回線数が多いほど割引額が大きくなる」設計が一般的です。1人が抜けると、残った家族の割引まで減ることがあります。
家族で契約している場合は、全員分の明細を並べて総額を出してください。家族単位での組み替え方は家族のスマホ代をまとめて下げる組み替え方で詳しく解説しています。
確認2:乗り換えると「かえって高くなる」条件に当てはまらないか
ここが最も見落とされやすく、そして最も金額に響くところです。
逆転が起きる代表的な3パターン
調べていて見落とされやすいと感じるのが、ここです。
次のいずれかに当てはまるなら、乗り換えで世帯の総額が上がる可能性があります。
- 家族3回線以上で家族割を使っている……1人抜けると残る家族の割引額も下がることがある
- 光回線とのセット割を使っている……スマホを他社にすると、光回線側の割引も外れる場合がある
- 端末の分割が長く残っている……端末代の割引が乗り換えで打ち切られる契約形態もある
この3つに当てはまる人は、乗り換えないほうが安いという結論も十分にありえます。
判断の手順
逆転が起きるかどうかは、次の引き算で確かめられます。
「(今の世帯総額)−(乗り換え後の自分の月額+残る家族の増加分+光回線の割引が外れた分)」を計算してみてください。
プラスなら、乗り換えの効果があります。マイナスなら、現状維持のほうが有利です。
確認3:MNPワンストップに対応しているか
電話番号を変えずに乗り換える手続きは、以前より簡単になっています。
予約番号が要らないケースが増えている
従来は、今の会社でMNP予約番号を取得してから乗り換え先に申し込む必要がありました。
2023年5月から始まったMNPワンストップ方式では、対応事業者どうしのWeb申込に限り、予約番号を取得せずに乗り換えられます。
2026年時点では主要な事業者の多くが対応しています。ただ、対応状況は変わります。
申し込み前に、乗り換え先の案内で確認してください。
予約番号が必要なままのケース
次の場合は、従来どおり予約番号の取得が必要です。
- 店舗で乗り換える場合
- 乗り換え元・乗り換え先のいずれかがワンストップ非対応の場合
制度の詳細は総務省のMNP制度の案内で確認できます。具体的な手順は大手キャリアから格安SIMへ乗り換える手順にまとめました。
今の総額と逆転条件を確認できたら、実際のプランを見比べる段階です。
確認4:自分が実際に使っているデータ量を測る
プラン選びで最も多い失敗は、必要以上に大きな容量を契約することです。
まず実測してから決める
iPhoneなら「設定」の「モバイル通信」。Androidなら「設定」の「ネットワークとインターネット」です。
ここから直近の使用量を確認できます。
ここで注意したいのは、iPhoneの累計値は自分でリセットしない限り増え続ける点です。表示されている期間がいつからかを確認してください。
直近3か月の平均を出し、それに少し余裕を持たせた容量を選ぶのが現実的です。
数字で比べると、目安は見えてきます。2026年7月時点では、音声通話付きで3GB前後のプランが月1,000円前後です。
20GB前後のプランなら月2,000円台。これが一つの水準になっています。
今の料金がこの水準から大きく離れているなら、見直しの余地があります。
ただし料金は各社で頻繁に改定されます。実際の金額は必ず公式ページで確認してください。
容量を減らせる余地もある
自宅や職場でWi-Fiにつないでいる時間が長い人は、思っているよりモバイル通信を使っていないことがあります。
逆に、動画を外で見る習慣がある人は容量が要ります。使い方を変えて容量を下げる方法はデータ使用量を減らす設定と使い方で解説しています。
確認5:通話をどう使っているかを振り返る
データ量に気を取られて見落としやすいのが、通話です。
格安SIMの通話料は従量課金が基本
多くの格安SIMでは、標準の電話アプリから発信すると30秒あたりの通話料がかかります。
大手キャリアでかけ放題に入っていた人は要注意です。同じ感覚で通話すると、請求額が想定を超えます。
多くの事業者は専用の通話アプリを用意しており、そこから発信することで通話料を抑えられる仕組みになっています。
確認しておくこと
- 1か月にどれくらい通話しているか(通話履歴の合計時間)
- 専用の通話アプリが用意されているか
- かけ放題オプションの有無と月額
通話が多い人は、かけ放題を付けた金額で比較しないと、乗り換えの効果を正しく判断できません。
通話まわりの落とし穴は格安SIMで後悔する人に共通する3つの見落としで詳しく解説しています。
確認6:サポートと支払い方法を確認する
料金だけを見て決めると、乗り換えた後で困るのがこの部分です。
店舗サポートの有無
格安SIMはオンライン申込が中心で、店舗を持たない事業者もあります。
設定を自分で進められる人には問題ありません。
ただ、対面で相談したい人や家族の分をまとめて手続きしたい人は、店舗の有無を確認しておいてください。
国民生活センターにも、サポート内容を確認せずに契約してしまった相談が寄せられています(格安スマホの利用方法やサポート内容に注意)。
使えなくなるサービスを確認する
乗り換えで使えなくなる代表例が、キャリアメール(@docomo.ne.jpなど)とキャリア決済です。
キャリアメールは有料で継続できる仕組みが用意されている場合もありますが、月額がかかります。
会員登録やネット銀行の連絡先にキャリアメールを使っている場合は、乗り換え前にフリーメールへ変更しておくと安全です。
支払い方法も確認が必要です。事業者によってはクレジットカードのみで、口座振替に非対応の場合があります。
見落とされやすいのが、ここです。家族名義のカードしかない場合はとくに確認してください。
まとめ:6つを順番に確認すれば、判断を誤らない
格安SIMに乗り換える前の確認事項を整理してきました。
順番は、①今の世帯総額を把握する ②逆転条件に当てはまらないか確かめる ③MNPワンストップ対応か確認する ④データ量を実測する ⑤通話の使い方を振り返る ⑥サポートと支払い方法を確認する、の6つです。
格安SIMは多くの人にとって選択肢になりますが、家族割やセット割を使っている人にとっては「乗り換えない」という判断も同じくらい正しい答えです。
料金やキャンペーンの条件は変わることがあるため、申し込み前に各社の公式ページで最新の内容を確認してください。
まずは今月の請求明細を開いて、総額を書き出すところから始めてみてください。
あわせて読みたい:通信費の関連記事
- 大手キャリアから格安SIMへ乗り換える手順
- 格安SIMで後悔する人に共通する3つの見落とし
- eSIMとは何か。物理SIMとの違いと向き不向き
- デュアルSIMで通信費を下げる使い方
- 家族のスマホ代をまとめて下げる組み替え方
- 光回線とホームルーターはどちらが自分に合うか
- スマホ端末を安く買う方法(中古・型落ち・分割)
- データ使用量を減らす設定と使い方
- 通信障害に備える二回線持ちの現実的なコスト
- スマホ・保険・電気の「固定費3本柱」を見直して、毎月のムダを減らす方法
確認が済んだら、実際の料金とエリアを見比べてみてください。










