Webリサーチャーの江原健太です。
通信費は下げたい。でも電話番号は変えたくないし、通話品質も落としたくない。
そんなときに使えるのが「デュアルSIM」です。1台のスマホで2つの回線を使う仕組みです。
僕も仕事柄、回線を複数持っています。調べていて感じるのは、目的をはっきりさせないと契約だけ増えて終わるということ。
この記事では、デュアルSIMの仕組みを整理します。通信費を下げる組み合わせ方は3つに分けました。
対応の確認でつまずく点
デュアルSIM対応と書かれていても、組み合わせに制限があることがあります。
確認しておきたいのは次の3点です。
- 物理SIMを2枚使えるのか、物理とeSIMの組み合わせなのか
- 2回線とも同時に待ち受けできるか……片方が休止する仕様の端末もあります
- データ通信の切り替えが手動か自動か
2つ目が重要で、同時待ち受けに対応していないと、片方の着信を取れません。
仕様は端末のメーカーサイトで確認できます。
購入前に、機種名と一緒に確認しておいてください。
デュアルSIMとは、1台で2回線を使う仕組み
デュアルSIMとは、1台のスマホに2つの回線を設定して使える機能です。
「物理SIM+物理SIM」の組み合わせもあります。ただ、現在主流なのは物理SIM+eSIMです。
2つの電話番号を1台で持てます。片方を通話用、もう片方をデータ用として使い分けることもできます。
なお、番号を維持したまま回線を移す仕組み(MNP)については、総務省のMNPの案内で確認できます。
まず確認:DSDV対応の端末かどうか
ここが最重要の前提条件です。
デュアルSIMには方式がいくつかあり、2つの回線を同時に待ち受けできるのはDSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)に対応した端末だけです。
非対応の端末では、片方の回線を使っている間、もう片方が圏外になります。
これでは通話用の番号にかかってきた電話を取れません。
お使いの端末がDSDVに対応しているかは、メーカーの製品仕様ページで確認してください。
eSIMの仕組みそのものはeSIMとは何か。物理SIMとの違いと向き不向きで解説しています。
実際に運用してみて分かること
2回線を使い始めると、想定していなかった点に気づきます。
相談を受けることが多いのは次の3つです。
ひとつめは、通知がどちらの回線か分かりにくいこと。
SMSがどちらに届いたか判別しづらい端末があります。
ふたつめは、データ通信の切り替えを忘れることです。
Wi-Fiのない場所で、容量の少ない回線を使ったまま動画を見てしまう。これはよく起きます。
3つめは、契約更新の時期を2つ管理することになる点になります。
カレンダーに両方の更新月を入れておいてください。
1回線のときより、確認する項目が増えることは前提にしておく必要があります。
組み合わせ1:通話用は大手、データ用は格安SIM
通信費を下げる目的では、これが最も効果が出やすい組み合わせです。
考え方
電話番号は大手キャリアの最小プランで維持します。データ通信は格安SIMに任せる形です。
通話の品質と着信の安定性は大手のまま。数字で比べると、料金の大半を占めるのはデータ通信の部分です。
そこだけを安い回線に置き換えます。大手には通話のみに近い小容量プランが用意されている場合があります。
向いている人
仕事で電話番号を変えられない人、着信を取り逃したくない人に向いています。
「番号は変えたくないが通信費は下げたい」という要望には、この形が最も素直に答えます。
2枚のSIMをどう管理するか
契約が2つになると、管理する項目も増えます。
まとめておきたいのは次の情報です。
- それぞれの事業者名と契約プラン
- 更新月と、解約時の条件
- 会員ページのログイン情報
- サポートの連絡先
更新月が違うと、片方を忘れて自動更新されることがあります。
この一覧を作っておけば、見直しのときにすぐ確認できます。
紙でもメモアプリでも構いません。1か所にまとめておくことが大事です。
組み合わせ2:メイン回線+障害時のサブ回線
節約というより、備えを重視する組み合わせです。
考え方
普段使う回線に加えて、別の通信会社の回線を少量だけ持っておきます。
片方に通信障害が起きても、もう片方に切り替えればいい。決済や連絡を続けられます。
データ量が少なければ月額は低く抑えられます。保険としての持ち方が現実的です。
選ぶときのポイント
ここで大切なのは、メイン回線と異なる通信網の回線を選ぶことです。
見落とされやすいのが、ここです。同じ大手の回線を借りている格安SIM同士だと、元の回線が止まれば両方止まります。
二回線持ちのコスト感は通信障害に備える二回線持ちの現実的なコストで詳しく解説しています。
組み合わせの方針が決まったら、データ用の回線を選ぶ段階です。
番号を分けるときの実務
仕事用の番号を持つ場合、決めておきたいことがあります。
- 受ける時間を決めるか……端末の設定で、時間帯ごとに通知を分けられます
- 連絡先をどちらに登録するか……混在すると発信時に迷います
- 名刺やプロフィールにどちらを載せるか
1つ目は、番号を分ける最大の利点になります。
仕事用の回線だけ通知を止めれば、休みの日に切り替えられます。
番号を分けても、通知が全部届く設定のままでは意味が薄れます。
設定まで含めて考えてください。
組み合わせ3:仕事用と私用で番号を分ける
副業やフリーランスとして活動している人に向く形です。
考え方
1台のスマホに、仕事用と私用の2つの番号を持たせます。
端末を2台持ち歩く必要がなくなります。仕事用の番号だけ夜間は通知を切る、といった使い分けもできます。
仕事用の回線の料金は、経費として計上できる場合があります。ただし、プライベートと兼用なら按分が必要です。
詳しくは家事按分の考え方と、税務署に説明できる根拠の残し方を参考にしてください。
注意点
発信時にどちらの番号を使うかは、通話ごとに選ぶ設定が必要です。
デフォルトの発信回線を間違えたまま仕事の連絡をすると、私用の番号を相手に伝えてしまうことになります。設定を最初に確認しておいてください。
どちらの回線を何に使うかを決める
2回線を持つと、設定で迷う場面が出てきます。
先に決めておきたいのは、次の4つです。
- データ通信をどちらで行うか……容量の多い回線を割り当てます
- 発信のとき、どちらの番号を使うか……既定の回線を決めておきます
- SMSをどちらで受けるか……認証に使っている番号のほうです
- アプリごとの使い分け……端末によっては個別に指定できます
2つ目を決めておかないと、発信のたびに選択画面が出て面倒になります。
仕事とプライベートで分けている場合は、この設定が特に効きます。
設定画面の名称は端末によって違いますが、モバイル通信やSIMの管理の項目にあります。
設定後に確認しておくこと
2回線を設定したら、その場で動作を確認してください。
見るのは次の4点です。
- 両方の番号で発信できるか
- 両方の番号に着信するか
- SMSがどちらに届くか
- データ通信が意図した回線を使っているか
3つ目は、認証で使う番号を把握しておくために重要です。
実際に自分の番号へ送ってみると確実に分かります。
設定の流れ
実際に使い始めるまでの手順は次のとおりです。
- 端末がDSDVに対応しているか確認する
- 2つ目の回線を申し込む(eSIMなら即日開通しやすい)
- eSIMのプロファイルを端末に書き込む(Wi-Fi環境で行う)
- データ通信に使う回線を指定する
- 発信時の既定の回線を設定する
手順4と5を飛ばすと危険です。意図しない回線でデータ通信をして、想定外の請求につながります。
費用が下がらないケースもあります
2回線にすれば必ず安くなる、というわけではありません。
下がらないのは、次のような場合です。
- メイン回線のプランを変えていない……大容量プランのまま副回線を足すと、単に増えます
- 家族割の条件から外れた……回線構成が変わると割引が減ることがあります
- 使っていないオプションが残っている……メイン側の見直しが済んでいない状態です
2回線にする前に、メイン回線のプランを見直すのが先になります。
データ量を副回線に移すなら、メインの容量は減らせるはずです。
ここを変えないまま追加すると、月額は増える一方になります。
端末側の制約も確認しておく
2回線を使うと、端末側にも影響が出ることがあります。
相談を受けることが多いのは次の2つです。
ひとつは、SIMトレイの構造です。片方のスロットがメモリーカードと共用になっている端末があります。
その場合、2枚目のSIMを入れるとメモリーカードが使えなくなります。
もうひとつは、対応している通信規格の組み合わせです。
2回線とも同じ規格で待ち受けできるとは限りません。
購入前に、端末の仕様を確認しておいてください。
デュアルSIMのデメリット
良い面だけではないので、こちらも整理しておきます。
バッテリーの消費が増えることがある
2つの回線を同時に待ち受けます。1回線のときよりバッテリーを消費する場合があります。
管理する契約が増える
請求も設定も2つになるため、把握すべきことが増えます。
通信費を下げるつもりが、使わない回線を放置して二重に払っていた、というのが最も避けたい失敗です。定期的に両方の請求を確認してください。
2回線持ちをやめるときの手順
始めるときの話が多くなりましたが、やめるときにも注意点があります。
解約する前に確認したいのは3つです。
ひとつめは、その番号で受けている認証がないか。
SMSでの認証を設定していると、解約後にログインできなくなります。
ふたつめは、契約期間の縛りや解約手数料の有無です。
3つめは、解約のタイミングです。月の途中で解約すると、日割りになるかどうかで金額が変わります。
この3つを確認してから手続きすれば、余計な費用も手間も避けられます。
まず目的を1つに絞る
3つの組み合わせを紹介しましたが、全部を狙わないでください。
通信費を下げたいのか、障害に備えたいのか、番号を分けたいのか。
目的が複数あると、どちらの回線に何を割り当てるかが決まりません。
まず1つに絞って組んでみて、慣れてから見直す形をおすすめします。
2回線にする前に、いまのプランの見直しを済ませておいてください。
それだけで解決することもあります。
導入前に試算しておく
2回線にする前に、月額の合計を出しておいてください。
メインを見直した後の金額と、副回線の金額を足します。
その合計が、いまの金額より下がっていなければ、目的が「節約」なら意味がありません。
障害への備えが目的なら、増える分は納得したうえで持つ費用になります。
目的によって、許容できる金額が変わります。
まとめ:目的を先に決めれば、組み合わせは自然に決まる
デュアルSIMで通信費を下げる使い方を整理してきました。
確認すべき項目は3つ。①端末がDSDVに対応しているか ②目的(節約・障害対策・番号の使い分け)に合う組み合わせはどれか ③データ通信と発信の既定回線を設定したか。
節約が目的なら「通話用は大手のまま、データ用を格安SIMに」が最も効果を出しやすい組み合わせです。
プランの内容や料金は変わります。申し込み前に、各社の公式ページで最新の条件を確認してください。
乗り換え全体の確認事項は格安SIMに乗り換える前にやるべき6つの確認もあわせて参考にしてください。
組み合わせは3つ紹介しましたが、選ぶのは1つで構いません。
目的が決まれば、設定も自然に決まります。
