家計改善アドバイザーの真鍋みゆです。
「支出を見直しましょう」と言われても、どこから手をつければいいか分からない。そういうご相談をよくいただきます。
費目ごとに細かく分ける方法もありますが、私は最初に3つだけに分けていただいています。分け方が細かいほど、判断は難しくなるんです。
3つに分けて、それぞれの基準を決める。それだけで手をつける場所が見えてきます。
先に、割合の目安について
本題の前に、ひとつお伝えしておきたいことがあります。
「食費は手取りの15%」といった数字
家計の記事を読んでいると、費目ごとの理想的な割合が載っていることがあります。住居費25%、食費15%、といった形ですね。
これらの数字に、公的な根拠はありません。一般に流通している目安であって、どこかの役所が定めた基準ではないんです。
実際に世帯が何にいくら使っているかなら、総務省の家計調査(家計収支編)で費目別の実数を見ることができます。理想の割合ではなく、実態のほうです。
使ってもいいけれど、従わなくていい
目安として眺めるのは構いません。ただ、これに合わせようとすると無理が出ます。
一人暮らしと4人家族、都市部と地方、車のある家とない家。前提が違うのに、同じ割合に収まるはずがないんですよね。
比べる相手は、過去の自分だけ
家計を見せていただくと、「平均と比べてどうですか」と聞かれることがとても多いです。
でも見るべきなのは、平均との差ではありません。
先月の自分と比べて、残る額が増えているかどうか。それだけで足ります。
3つに分けます
では本題です。支出を次の3つに分けていきます。
1つ目:固定費
毎月ほぼ同じ金額が、自動的に出ていくものです。
- 家賃・住宅ローン、管理費
- 通信費(スマホ、インターネット回線)
- 保険料
- 電気・ガス・水道(金額は動きますが、契約に紐づく固定的な支出です)
- サブスク、月会費、習い事の月謝
- 車の維持に関わるもの(駐車場、保険)
見直しの効果がいちばん大きいのがここです。1回手続きをすれば、あとは毎月効き続けます。
2つ目:変動費
使うたびに発生し、金額が月によって変わるものです。
- 食費、外食費
- 日用品
- 交際費、レジャー
- 被服費
- 医療費
ここは削ろうとすると毎日の判断が必要になるので、我慢の総量が多いわりに残る額は少ない領域です。
3つ目:自己投資
ここが、私が3分類にしている理由です。
書籍代、講座の受講料、資格の勉強、仕事に使う道具。これらを変動費に入れてしまうと、削る対象として真っ先に候補に挙がってしまいます。
でも、この支出は先の収入につながる可能性があります。消費とは性質が違うので、別の枠に置いておきたいんです。
仕分けの基準
分けるときに迷う場面があるので、判断の仕方をお伝えします。
固定費と変動費を分ける基準
「使わなくても出ていくかどうか」で分けてください。
今月まったく外食しなければ食費は減りますが、家にいてもスマホ代は出ていきます。この違いです。
光熱費は判断が分かれるところですが、契約プランを変えれば基本料金が変わるので、私は固定費側に入れています。見直しの手続きで下がるものは、固定費として扱うと動きやすくなります。
自己投資かどうかの基準
ここがいちばん迷うところですよね。基準は次の質問です。
「これを続けた先に、収入やスキルとして返ってくるものがあるか」
- 返ってくる見込みがある → 自己投資
- その場の満足で完結する → 変動費
趣味の習い事は、楽しむためなら変動費です。それを仕事にする予定があるなら自己投資になります。
同じ支出でも、目的によって分類が変わって構いません。
迷ったら変動費に入れる
何でも自己投資に入れてしまうと、この分類の意味がなくなります。
よくあるのが、買ったまま読んでいない本や、登録したまま見ていない動画講座です。手を動かしていないものは、いったん変動費に置いてください。
実際にやってみる最小手順
いきなり全部を分類しようとすると、手が止まります。最初の一歩だけお伝えします。
引き落とし明細を1か月分だけ書き出す
やることはこれだけです。
銀行口座の引き落としと、クレジットカードの明細を、直近1か月分だけ見てください。1件ずつ、名前と金額を書き出します。
レシートは要りません。現金の支出も、いったん置いておいて構いません。
まず自動で出ていっているお金を見るのが目的です。
横に3つの印をつける
書き出した各項目に、固定費・変動費・自己投資のどれかを書き添えます。10分ほどで終わると思います。
固定費の合計を出す
固定費だけを足してみてください。この金額が、あなたが何もしなくても毎月出ていくお金です。
手取りに対してどのくらいかを見ると、余裕がどれだけあるかが分かります。ここで初めて、見直す価値のある項目が浮かんできます。
見直す順番
分類ができたら、手をつける順番です。
固定費から、金額の大きい順に
効果が大きく、我慢が要らない順に並べると、自然とこうなります。
- 使っていないサブスク・会費(気づいた瞬間に解約できます)
- 通信費(プランや事業者の見直し)
- 電力・ガス(契約の見直し)
- 保険(内容の確認。減らすかどうかは慎重に)
- 住居費・車(金額は大きいですが、動かすのに時間がかかります)
通信費の見直しは格安SIMに乗り換える前にやるべき6つの確認、電力は電力会社の比較はなぜ必要? 自由化を活かして電気代を見直す5つの視点で扱っています。
変動費は「減らす」より「上限を決める」
食費を毎日切り詰めるのは続きません。
そのかわり、月に使ってよい額を決めて、その口座から出す形にします。金額を守るのではなく、入っている額しか使えない状態にするんです。
この仕組みは家計簿が続かない人のための「記録しない家計管理」で詳しく扱っています。
自己投資は、最後まで削らない
苦しくなると真っ先に削りたくなる部分ですが、ここを削ると先の収入が伸びにくくなることがあります。
減らすとしても、固定費と変動費を見直した後です。順番を守ってください。
見直したあとの落とし穴
仕分けが終わったあとに起きやすいことも、2つ書いておきます。
浮いた分が消える
固定費を下げても、その分を貯蓄に回さなければ生活費に吸収されます。
下がった額と同じだけ、自動振替を増やしてください。放っておくと、数か月で元の残高に戻ります。
この現象は収入が増えても貯まらない「生活水準の膨張」を止めるで扱っているものと同じです。
1回で終わりにしてしまう
契約は増えていきます。1年経つと、また見直す対象ができています。
年に1回だけ確認する日を決めておくと、たまりません。手順は家計の見直しを年1回やるためのチェックリストにまとめました。
まとめ:自己投資を別枠にしておく
費目別の割合の目安には公的な根拠がないので、そこに合わせる必要はありません。
やることは、支出を固定費・変動費・自己投資の3つに分けること。基準は「使わなくても出ていくか」と「先に返ってくるものがあるか」。
そして固定費から、金額の大きい順に手をつけていく。
自己投資を別枠にしておくと、苦しいときに真っ先に削ってしまう事故を防げます。ここは家計の中で、唯一「増やす」側の支出なんです。
まずは直近1か月の引き落とし明細を開いて、1件ずつ3つの印をつけてみてください。10分で、手をつけるべき場所が見えてきます。
本記事は家計管理に関する一般的な情報提供を目的としたもので、貯蓄額や節約の効果を保証するものではありません。記載している金額や割合は目安であり、必要な額はご家庭の状況によって異なります。税・社会保険・保険・金融商品に関わる判断は制度改正の影響を受けるため、実際のご判断は公的機関および各社の最新情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
