家計改善アドバイザーの真鍋みゆです。
6月と12月に振り込まれる金額を見て、ほっとする。そしてその後、思ったほど残らない。
ボーナスは出ているのに、年間で見ると増えていない。ご相談ではこの形が本当に多いんです。
使い道が悪いわけではありません。ボーナスを前提に1年を設計すると、どうしてもそうなりやすいんです。
賞与に頼らない形で1年分を組み立てておけば、この揺れをまるごと外に出せます。
ボーナス頼みが崩れやすい理由
最初に、何が起きているのかを整理します。
金額が読めない
賞与は、会社の業績や評価で変わります。前年と同じ額が出る保証はありません。
それなのに「夏のボーナスで払おう」と決めてしまうと、減った年に予定が狂います。収入のうち、いちばん不確かな部分を計画の土台にしている形なんですよね。
入る前から使い道が埋まっている
よくあるのが、振り込まれる前に用途が決まっているパターンです。
カードの分割払い、旅行の予約、家電の買い替え。実際に入金される頃には、残る分がほとんどない。
これでは貯蓄に回りません。
月々の家計が赤字でも気づけない
これがいちばん怖いところだと思っています。
毎月2万円足りなくても、賞与で埋めれば年間では帳尻が合います。すると「なんとかなっている」ので、月々の設計を見直す機会が来ないんです。
賞与が減った年に、初めて赤字が表に出ます。
考え方を逆にします
では、どう組み直すか。順番の話です。
年間目標を12で割らない
「年間100万円貯めたいから、月8万3千円ずつ」。この決め方をすると、たいてい続きません。
目標が先にあって、そこから毎月の負担が決まるので、生活に無理が出るためです。
毎月の手取りから、先に引く
そうではなく、毎月の手取りから無理なく引ける額を先に決めて、それを12倍したものが年間の貯蓄額という順番にします。
手取り25万円で、3万円なら苦しくないと分かったなら、年間は36万円です。目標が先ではなく、続く額が先。
先に引く仕組みの作り方は先取り貯金の口座の分け方と自動化の設定にまとめています。
賞与は「上乗せ」に位置づける
賞与を計画から外すわけではありません。役割を変えるだけです。
- 月々の積立……計画の土台。これだけで生活と貯蓄が回る状態にする
- 賞与……出たら上乗せ。出なくても計画は崩れない
こうしておくと、賞与が出た年は前倒しで進み、出なかった年も止まりません。
年に数回の出費を、月に均す
もうひとつ、賞与頼みを生んでいる大きな要因があります。
「特別費」を月の生活費に入れない
毎月は出ないけれど、年に何回か必ず出ていくお金があります。
- 自動車税、固定資産税などの税金
- 車検、自動車保険の年払い
- 帰省の交通費、お盆や年末年始の出費
- 家電や家具の買い替え
- 冠婚葬祭
- 年払いにしている保険料やサブスク
これらを月の生活費の中でやりくりしようとすると、出た月だけ赤字になります。そして赤字の穴埋めに賞与が使われる、という流れです。
年間で見積もって、12で割って積む
やることは単純です。1年でいくらかかるかを書き出して、12で割った額を毎月積んでおきます。
自動車税 40,000円 車検(2年ごとの半額) 50,000円 帰省(年2回) 60,000円 家電の買い替え 50,000円 冠婚葬祭 50,000円 ────────────────── 年間合計 250,000円 → 月あたり 約21,000円
この月2万1千円を、生活費とは別の場所に置いておく。出費があった月は、そこから出します。
賞与で埋めていたものの正体は、たいていこの特別費なんです。
金額は最初、多めでいい
初年度は書き出しきれない項目が必ず出てきます。
長く回すつもりなら、想定より1〜2割多めに積んでおくと安心です。余ったら翌年に繰り越せば、そのまま緩衝材になります。
賞与が読めない働き方の場合
ここまでの話は、賞与が年に1回か2回ある前提で書いてきました。
ただ、そもそも賞与という形で受け取っていない方もいらっしゃいます。
歩合や出来高の比率が高い働き方、契約更新のたびに条件が変わる働き方、自営業の方などです。
この場合も、考え方は変わりません。変動する部分を、生活の土台から外しておく。それだけです。
やり方としては、直近12か月の入金額を書き出して、いちばん少なかった月を基準にします。
平均ではなく最小を使うのは、平均で組むと少ない月に必ず足りなくなるからです。
その最小額で毎月の生活が回る形を作り、それを超えた分を後から配分する。
超えた分の配分先は、特別費の積立、貯蓄、そして納税用の3つに分けておくと安心です。
自営やフリーランスの方は、この納税用の枠を先に取っておかないと、翌年に苦しくなります。
無理なく続けるなら、超えた分をその場で全部振り分けず、いったん別の口座へ移してから決めても構いません。
組み立ての手順
ここまでを、実際にやる順番にまとめますね。
手順1:毎月いくら引けるかを試す
いきなり決めずに、1〜2か月試してみてください。生活費が足りなくなったら下げる。
それで構いません。
手順2:特別費を書き出して、12で割る
去年1年を思い出しながら、大きな出費を書き出します。手帳やカードの明細を見ると出てきます。
手順3:2つを別々に積む
貯蓄用と、特別費用。無理なく続けるなら、この2つは分けておいてください。
混ざっていると、特別費を使ったときに「貯金を崩した」と感じてしまいます。
実際には予定どおり使っただけなので、罪悪感を持つ必要はないんですよね。
手順4:賞与が出たら、配分を決めてから使う
入金される前に、3つの配分を決めておくと使いすぎません。
- 貯蓄への上乗せ
- その年に使うもの(旅行、買い替えなど)
- 翌年の特別費への前倒し
割合に正解はありませんが、先に決めてから明細を見るのがコツです。
手順5:12か月の予定表に置く
特別費は総額だけでなく、支払う月まで並べます。自動車税は5月、帰省は8月、年払いの保険は10月というように、分かる範囲で置いてください。
たとえば年間24万円を月2万円ずつ積んでも、4月までに18万円の支払いが集中するなら残高が足りません。初年度だけは手元資金を加えるか、支払月までの積立額を一時的に増やす必要があります。
年間合計が合うことと、支払日に残高があることは別です。月ごとの残高を一度追うと、賞与で穴を埋める計画へ戻るのを防げます。
賞与が減ったときに、最初に見るところ
賞与が想定より少なかった場合、まず確認したいのは月々の家計のほうです。
ここが黒字で回っているなら、賞与が減っても生活は続きます。減るのは上乗せ分だけですね。
問題は、月々が赤字で、その穴を賞与で埋めていた場合です。
この状態だと、賞与が減った分がそのまま貯蓄の取り崩しに変わります。
家計を見せていただくと、ご本人も気づいていないことがあります。年間では帳尻が合っているように見えるからです。
見分け方は簡単で、賞与が入らない月だけを3か月分並べてみてください。
その3か月で収支がマイナスなら、月々の家計を先に整える段階にあります。
この場合、特別費の積立額を一時的に下げてでも、月々を黒字にするほうが優先です。
順番を逆にすると、積立のために生活費が足りなくなって、結局は崩すことになりますよね。
試算してみると
イメージしやすいように、ひとつ例を置いておきます。
前提を明示した例
手取り月25万円、賞与は年2回で合計50万円という前提で考えてみます。
毎月の積立(貯蓄) 30,000円 × 12 = 360,000円
賞与からの上乗せ 150,000円
──────────────────────────────
年間で貯蓄に回る額 510,000円
(別枠)毎月の特別費積立 21,000円 × 12 = 252,000円
※特別費は車検や帰省などで使う前提のお金なので、
貯蓄には数えていません。
これはあくまで、この前提での計算です。収入も特別費も人によって違いますし、賞与が出ない年もあります。
金額そのものより、月々の積立だけで36万円が確保されている形に注目してください。
賞与がゼロだったら
上の例で賞与が出なかった場合、年間の貯蓄は36万円になります。減りはしますが、計画そのものは崩れません。
ここが、ボーナスに頼らない設計のいちばんの利点です。
反対に賞与が想定より多かった場合も、翌年の固定的な支出は増やしません。一度きりの上振れとして、貯蓄への上乗せ・近い特別費・自由に使う分へ振り分けます。
特別費の見積もりが外れたとき
1年やってみると、特別費の見積もりはたいてい外れます。
そして外れ方には、決まった傾向があるんですよね。
- 足りなくなる……冠婚葬祭、家電の故障、医療費など、予定に書けないものが入ってきた
- 余る……旅行や帰省を見送った、車検の年ではなかった
足りなかった場合、まず確認したいのは「予定に書けたものだったか」です。
書けたのに漏れていたなら、次の年の一覧に足せば済みます。
書けないものだったなら、それは特別費ではなく、別に持っておく予備費の役割です。
特別費の積立とは別に、生活費の1か月分ほどを動かさずに置いておくと、この種の出費を吸収できます。
余った場合は、そのまま翌年に繰り越してください。
使い切ろうとしないほうが、翌年の見積もりが楽になります。
続けるときに気をつけたいこと
組み終えたあとに引っかかりやすい場面を、3つ挙げておきます。
賞与を全額貯蓄に回そうとしない
張り切って全額を貯蓄に回すと、反動で翌月に大きな買い物をしてしまうことがあります。
使う分を最初から決めておくほうが、結果的に残ります。
1年やってみて、必ず見直す
初年度は特別費の見積もりが必ずずれます。多すぎても少なすぎても、それは失敗ではありません。
実際にかかった額を記録しておいて、翌年の金額を直せばいいんです。
見直すときは3つに分ける
年末や年度末に、特別費を「毎年ほぼ同じ」「金額が変わる」「今年だけ」の3つへ分けます。
- 毎年ほぼ同じ……税金、年会費、定期的な点検など。翌年も実績額を使う
- 金額が変わる……帰省、旅行、冠婚葬祭など。予定を入れ直す
- 今年だけ……一度きりの買い替えなど。翌年の積立から外す
余った額だけを見て積立を減らすと、翌年の予定が増えたときに足りなくなります。残高と予定をセットで見てから、月額を直してください。
収入が減ったときは、貯蓄より先に特別費
収入が下がったとき、まず貯蓄を止める方が多いのですが、順序としては特別費の見直しが先です。
車検や税金は減らせませんが、帰省の回数や買い替えの時期は調整できます。調整できるものから手をつけるほうが、痛みが小さくて済みます。
まとめ:土台を月々に置く
要点は、順番だけです。
毎月の積立額、特別費の月額、支払月の3つを同じ表に置くと、賞与がなくても残高が足りるかを確認できます。年額だけで終わらせないことがポイントです。
予定が変わった月は表も直します。計画を守るのではなく、賞与なしでも回る土台を守ってください。
先ほどの例で言えば、月3万円の積立と月2万1千円の特別費積立が土台。賞与からの15万円は、その上に乗るおまけです。
賞与が出なければ年36万円、出れば51万円。どちらでも計画は生き残ります。
逆に、年間目標を12で割るところから始めると、この形にはたどり着けません。
出発点を目標額ではなく「毎月無理なく引ける額」に置く。変えるのはそこだけです。
去年1年で出ていった大きな出費を、思い出せるだけ紙に書き出してみてください。5つも書ければ、特別費の全体像がだいたい見えてきます。
家計全体をどう組むかは、家計簿が続かない人のための「記録しない家計管理」で扱っています。
賞与から貯蓄へ回す割合で迷う方は、ボーナスを貯金する割合の考え方も、平均をそのまま正解にせず判断材料としてお使いください。
