Webリサーチャーの江原健太です。
格安SIMへの乗り換えは、手順さえ分かれば難しくありません。
ただ、ネット上の解説は今も「まずMNP予約番号を取得します」から始まるものが多い。実は、予約番号が要らないケースが増えています。
各社の申込画面を調べていて感じるのは、この数年で手続きが一番変わったのがここだということ。
この記事では、乗り換えの手順を現在の仕組みに沿って整理します。
乗り換える前の確認事項は格安SIMに乗り換える前にやるべき6つの確認にまとめています。
始める前にそろえておくもの
手続きの途中で止まらないよう、先に用意しておくものがあります。
- 本人確認書類……運転免許証やマイナンバーカードなど
- 支払いに使うクレジットカードか口座情報
- メールアドレス……キャリアメール以外のものを用意します
- いま使っている電話番号と契約者情報
3つ目が重要です。
乗り換えるとキャリアメールが使えなくなるため、そのアドレスで申し込むと連絡が受け取れなくなります。
4つ目については、契約者名義が家族になっている場合に注意が必要です。
名義が違うと手続きできないことがあるので、事前に確認してください。
全体の流れは5ステップ
乗り換えの流れは、次の5つに分けられます。
- 端末が使えるか確認する
- 乗り換え先に申し込む
- 本人確認を済ませる
- SIMを受け取る(またはeSIMを発行する)
- 回線を切り替えて初期設定をする
全体像を先に把握しておくと、途中で迷わずに進められます。
端末を買い替える場合の判断
いまの端末が使えない場合、乗り換え先で買うか、別途用意するかを選ぶことになります。
判断の材料は3つです。
- 分割の残債があるか……残っていれば、乗り換えても支払いは続きます
- 下取りに出せるか……状態と機種によって金額が変わります
- セット購入に条件が付いていないか……一定期間の利用が条件になっている場合があります
3つ目は、後から気づくと動きにくくなる部分です。
安く買えたと思っても、途中で解約すると差額を請求されることがあります。
条件の有無は、申し込み画面の注記に書かれています。読み飛ばさないでください。
ステップ1:今の端末がそのまま使えるか確認する
新しく端末を買わないなら、最初の関門はここです。今使っている端末が対応しているかを確認します。
SIMロックの有無
以前のキャリア端末には、他社のSIMを挿しても使えないSIMロックがかかっていました。
現在販売されている端末は、原則としてロックがかかっていません。
ただ、古い端末を使い続けている場合は解除が必要なことがあります。
解除の手続きは各社のWebサイトから無料でできる場合が多い。契約中に済ませておくと安心です。
対応バンド(周波数帯)の確認
見落とされやすいのが、ここです。
SIMロックが解除されていても、乗り換え先の回線の周波数帯に対応していなければ、電波はつながりにくくなります。
乗り換え先の公式サイトには「動作確認済み端末」の一覧が用意されているので、申し込み前に自分の機種名で検索してください。
ここを飛ばすと、開通後に「圏外になる場所が増えた」というトラブルにつながります。
申し込みの前に決めておくこと
申し込み画面に入ると、その場で選択を求められる項目があります。
先に決めておくと、迷わずに進められます。
- プランと容量……実測した使用量をもとに決めます
- 通話オプションの有無……通話履歴を確認してから判断します
- SIMの種類……物理SIMかeSIMか
- 端末をセットで買うかどうか
3つ目は、開通までの日数に直結します。
急いでいるならeSIM、確実性を重視するなら物理SIMという選び方になります。
その場で考えると、勧められるままに選ぶことになります。
ステップ2:乗り換え先に申し込む(MNPワンストップなら予約番号は不要)
ここが以前と大きく変わった部分です。
MNPワンストップとは
2023年5月に始まったMNPワンストップ方式では、対応事業者どうしのWeb申込に限り、今の会社でMNP予約番号を取得する必要がありません。
乗り換え先のWebサイトで申し込みを進めます。途中で今の会社のサイトへ自動的に移動します。
そこで解約の意思確認をして、また戻ってくる。この流れです。
2026年時点では主要な事業者の多くが対応しています。ただ、対応状況は変わります。
申し込み画面の案内を確認してください。
制度の仕組みは総務省の電話番号を変えずに乗り換える方法の解説でも確認できます。
予約番号が必要な場合
次のケースでは、従来どおり予約番号の取得が必要です。
- 店舗で乗り換える場合
- 乗り換え元・乗り換え先のどちらかがワンストップ非対応の場合
予約番号には有効期限があります。一般的に、取得日を含めて15日間です。
期限が切れると再取得が必要になります。取得したらすぐ申し込んでください。
制度の詳細は総務省のMNPの案内で確認できます。
申し込み時に用意するもの
必要なのは3つです。本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)、支払い用のクレジットカードまたは口座情報、メールアドレス。
キャリアメールを連絡先にしていると、乗り換え後に受信できなくなる可能性があるため、申し込みにはフリーメールを使うことをおすすめします。
手順が分かったら、申し込み先の候補を絞る段階です。
本人確認でつまずきやすい点
オンラインでの本人確認は、書類の撮影方法で差し戻しになることがあります。
差し戻されやすいのは次のような場合です。
- 光の反射で文字が読めない……蛍光灯の真下を避けて撮ります
- 四隅が入っていない……書類全体が枠内に収まるようにします
- 住所が現住所と違う……引っ越し後に変更していない場合
- 有効期限が切れている
3つ目は、申し込みの入力内容と一致していないと止まります。
書類の住所を先に確認してから、申し込みの入力を進めてください。
差し戻されると、その分だけ開通が遅れます。
ステップ3〜4:本人確認とSIMの受け取り
申し込み後は、本人確認とSIMの受け取りに進みます。
本人確認の方法
オンライン申込では2通りが一般的です。書類の画像をアップロードする方法と、スマホのカメラで顔と書類を撮影する方法(eKYC)。
撮影の不備で差し戻しになると日数がかかります。書類の四隅が写るよう、明るい場所で撮影してください。
物理SIMとeSIMで所要日数が変わる
ここが分かれ目です。数字で比べると、差がはっきり出ます。
物理SIMは郵送での受け取りになるため数日かかるのに対し、eSIMは申込当日に開通できる場合があります。
ただし、審査の状況や申込のタイミングで前後します。余裕を持って手続きしてください。
eSIMの仕組みや向き不向きはeSIMとは何か。物理SIMとの違いと向き不向きで解説しています。
切り替えのタイミングをいつにするか
手順そのものより、いつ実行するかで手間が変わります。
避けたいのは、平日の日中や、外出の直前です。
切り替えの直後は、一時的に通信が使えない時間があります。
おすすめは、自宅のWi-Fiが使える環境で、時間に余裕がある日です。
Wi-Fiがあれば、通信が止まっている間も調べものができます。
もうひとつ、月末の切り替えには注意が必要です。
解約する月の料金がどう計算されるかは、事業者によって違います。
日割りになるのか、満額なのか。ここは申し込み前に確認しておいてください。
月初に切り替えると、旧回線の料金が1か月分そのまま発生することもあります。
ステップ5:回線の切り替えとAPN設定
最後の工程です。つまずく人が最も多いので、順を追って進めてください。
回線切替の手続き
SIMが届いたら、乗り換え先の会員ページなどから回線切替を申請します。
この手続きが完了した時点で、それまでの回線は解約となります。
切替の受付時間が決まっている事業者もあります。深夜に手続きしようとして、翌日回しになることがあります。
APN設定でつまずかないために
SIMを挿しただけではインターネットにつながらないことがあります。これはAPN(接続先)の設定が必要なためです。
AndroidはSIMを挿した後に手動で設定する場合があります。iPhoneは構成プロファイルをダウンロードする方式が一般的です。
構成プロファイルのダウンロードにはインターネット接続が必要なので、Wi-Fiがつながる場所で作業してください。
ここを外出先でやろうとすると、圏外のまま設定できないという状況に陥ります。
切替後に確認すること
開通したら、次の3つを確認しておくと安心です。
- データ通信ができるか(Wi-Fiを切って確認する)
- 通話と SMS の送受信ができるか
- 今まで使っていたアプリのログインが維持されているか
つまずいたときの確認先
手順どおりに進めても、途中で止まることはあります。
症状ごとに、見る場所が違います。
- SIMを入れても圏外のまま……SIMの向きと挿し込み、端末の再起動を確認します
- 電波は立つのにネットにつながらない……APN設定を見直します
- 通話はできるがデータだけ使えない……モバイルデータ通信がオフになっていないか確認します
- 切替の手続きが完了しない……申し込み時の情報と契約者情報が一致しているか確認します
4つ目は、名義や住所の表記違いで起きることがあります。
それでも解決しない場合は、乗り換え先のサポートへ連絡してください。
旧回線を解約する前なので、元の回線に戻せる段階です。慌てなくて大丈夫です。
旧回線の解約はいつになるか
乗り換えの手続きが完了すると、旧回線は自動的に解約されます。
自分で解約の連絡をする必要はありません。
ただ、確認しておきたいことがあります。
端末の分割払いが残っている場合、その支払いは解約後も続きます。
また、旧回線で契約していた有料オプションが、自動で解約されるとは限りません。
クラウドストレージや保証サービスなど、回線とは別契約になっているものがあります。
切り替えが終わったら、旧事業者の会員ページで契約中のサービスを確認してください。
放置すると、使っていないサービスの料金を払い続けることになります。
手続きにかかる時間の目安
全体でどれくらいかかるかを知っておくと、予定が立てやすくなります。
申し込みそのものは、必要な情報がそろっていれば30分ほどで終わります。
本人確認の審査に時間がかかることがあります。
eSIMなら当日中、物理SIMなら数日という差が出るのはこの後の工程です。
回線の切り替えとAPN設定は、合わせて30分ほど見ておけば足ります。
合計すると、eSIMなら1日、物理SIMなら数日から1週間ほどが目安になります。
急ぎでなければ、余裕のある日程で進めてください。
家族の回線も一緒に移す場合
複数の回線をまとめて移すときは、進め方に注意が要ります。
全員を同じ日に切り替えると、誰かがつまずいたときに対応しきれません。
まず自分の回線だけを移して、手順を把握してから家族に広げてください。
1回経験しておけば、つまずきやすい場所が分かります。
また、家族割の関係で、途中の期間だけ割引が減ることがあります。
その期間の増加分も見込んでおくと、想定外の請求に驚かずに済みます。
まとめ:ワンストップ対応かどうかで手順が変わる
大手キャリアから格安SIMへ乗り換える手順を整理してきました。
確認すべき項目は3つ。端末の対応を先に確かめること、MNPワンストップ対応ならWeb申込だけで完結すること、APN設定はWi-Fi環境で行うことです。
「まず予約番号を取る」という手順は、今は必ずしも必要ありません。乗り換え先の申込画面の案内に従うのが確実です。
手続きの詳細や必要書類は各社で異なります。申し込み前に、公式ページで最新の案内を確認してください。
手順そのものは複雑ではありません。
事前の準備さえ済んでいれば、迷う場面はほとんどないはずです。
不安なら、案内ページを開きながら進めてください。
