賞与が入ると、そのたびに「みんなはどのくらい貯めているんだろう」と気になりますよね。
ご相談でも、この時期は決まってこの質問をいただきます。ただ、答えをお出しする前に、確認しておきたいことがあります。
節約・貯金の記事を担当している真鍋みゆです。賞与は、そもそも全員に支給されるものではありません。
この記事では、公的な統計で実際の支給状況を確認したうえで、何割を貯めるかをご自身で決められるようにします。
まず、公的な統計で実際の支給状況を見る
世の中の平均を知りたいときは、事業者の調査ではなく公的な統計に当たるのがいちばん確実です。
426,337円
厚生労働省「毎月勤労統計調査」の2025年夏季賞与特別集計より。前年比は2.9%の増加。あわせて、支給事業所数割合は73.4%、きまって支給する給与に対する支給割合は1.02か月分でした。
この数字を読むときに、外せない注意点があります
426,337円という金額は、賞与を支給した事業所での平均です。支給していない事業所は含まれていません。
同じ統計で、支給事業所数割合は73.4%と公表されています。つまり4分の1以上の事業所では、そもそも夏季賞与が支給されていません。
支給していない事業所も含めた全事業所ベースの平均は、同じ集計で360,681円(前年比3.2%の増加)です。よく見かける「ボーナスの平均」がどちらを指しているかで、数字は大きく変わります。
もう1つ、支給事業所に雇用される労働者の割合という項目もあり、こちらは84.6%です。事業所の数で見た73.4%より高くなるのは、規模の大きい事業所ほど支給している傾向があるためです。
同じ調査の中でも、何を分母にした割合かで印象が変わります。数字を見るときは、その点を確かめてください。
金額より「か月分」で見たほうが実感に近い
賞与の金額そのものは、業種や事業所の規模によってかなり違います。ご自身と比べても、参考になりにくいところがあります。
そこで役に立つのが、きまって支給する給与に対する支給割合です。2025年の夏季は1.02か月分でした。
月々のお給料のおよそ1か月分、という見方をすると、ご自身の金額が全体のどのあたりかを把握しやすくなります。
業種による差はかなり大きい
同じ統計では産業別の金額も公表されていますが、業種によって差はとても大きくなっています。
ですので、全体の平均を見て「自分は少ない」と落ち込む必要はありません。同じ会社の同じ職種でも、年によって変わります。
比べるとすれば、他人ではなくご自身の去年の金額です。増えているか減っているかが分かれば、来年の計画は立てられます。
賞与は「あるもの」として計画に入れないでください
ここが今日いちばんお伝えしたいところです。
支給の有無も金額も、業績によって変わります。前年にあったから今年もある、とは限りません。
月々の家計は、賞与を入れずに回る形にしておいてください。入ってきたら上乗せになる、という位置づけのほうが、支給が変わったときに崩れません。
「賞与の2割」という目安の扱い
「月給の1割、賞与の2割を貯める」といった目安を、よく見かけます。
広く出回っている目安であって、公的な基準ではありません
この割合は、覚えやすくて始めやすいという意味では便利です。ただ、公的に定められた基準ではありません。
家賃も家族構成も、来年に必要な支出も人によって違います。同じ2割でも、余裕のある方と苦しい方が出るのは当然です。
目安から外れているというだけで、問題があるわけではないんです。使うとしたら、最初の一歩をどこに置くかを決めるための足場としてです。
「みんないくら貯めているか」を基準にしない
他の人がどれだけ貯めているかを紹介する記事はたくさんありますが、その多くは事業者による自社調査です。
どういう条件の方が何人分集まった数字なのかが書かれていないことも多く、そのまま基準にするのは危ういところがあります。
EvergreenWorksでは、一次情報で裏の取れない数値は使わないことにしています。ですので、この記事でも使い道の割合などは出しません。
割合ではなく、金額から決める方法
私がお伝えしているのは、割合を先に決めない方法です。
まず、次に賞与が入るまでの間に必要な支出を書き出してください。更新料、帰省の費用、家電の買い替え、税金の納付、年払いのサービス。
その合計を賞与から引きます。
残った金額が、貯めるか使うかを選べる分です。ここまで来て初めて、割合の話ができます。
引かれるものがあることも覚えておく
支給額として提示された金額が、そのまま口座に入るわけではありません。給与と同じように、控除されたうえで振り込まれます。
計画を立てるときは、提示額ではなく実際に振り込まれた金額で考えてください。ここを間違えると、決めた金額を移した時点で足りなくなります。
前回の明細を見れば、おおよその割合が分かります。次回もその割合で見積もっておくと安全です。
貯める分をどこに置くか
金額が決まったら、次は置き場所です。ここで急がないでください。
すぐ動かせる分を、先に確保する
収入が止まったときに暮らせるお金が用意できていない段階では、まずそこから埋めてください。
この用途のお金は、増やすことよりも必要なときにすぐ引き出せることが優先されます。どのくらい必要かの考え方は 生活防衛資金とは?どのくらい貯めるべきかを解説 にまとめています。
預貯金以外の選択肢について
「預けているだけでは増えない」という話をよく聞きます。たしかに、預貯金の利息だけで大きく増やすのは難しい状況が続いています。
そのため、投資信託をはじめとする金融商品を検討される方もいます。
ただ、これらは預貯金と性質が違います。値動きによって、預けた金額を下回ることがあります。
この記事では、特定の商品をおすすめすることはしません。
金融庁や各金融機関が公開している資料で仕組みとリスクを確認し、必要に応じて資格を持つ専門家へご相談ください。判断はご自身の状況に合わせて行うものです。
先に返すべきものがある場合
分割払いやリボ払いの残高がある場合は、貯めるより先にそちらを減らすほうが家計全体では前に進みます。
手数料がかかり続ける支払いを抱えたまま貯蓄だけを増やしても、差し引きでは目減りするからです。まとまったお金が入る機会は、ここを軽くする数少ないタイミングでもあります。
使う分も、はっきり残しておく
全額を貯めるほうへ回すと、その後の反動が出やすくなります。
賞与は、月々の給与では手が届かないものに使える数少ない機会でもあります。金額を決めて、その範囲では気兼ねなく使ってください。
枠を作っておくほうが、残りを守りやすくなります。
使う分の中身は、何でもかまいません。
ずっと我慢していたもの、家族と過ごす時間、体を休めるための出費。金額以外の価値が返ってくるものに使えるのが、賞与の良いところです。
入る前に決めておくと、迷いません
賞与の扱いは、入ってから考えると使ってしまいます。支給日の前に決めておいてください。
- 次の賞与までに必要な支出を書き出した
- その合計を賞与から引いて、選べる金額を出した
- 貯める分と使う分の割合を決めた
- 貯める分を入れる口座を決めてある
- 支給日の翌日に移す、と日付まで決めた
- 金額が想定より少なかったときの対応を決めてある
いちばん下の項目を入れているのには理由があります。支給額は毎回変わりますし、業績次第では出ないこともあるからです。
「出たらこう、少なかったらこう」と先に決めておけば、その場で悩まずに済みます。
移すのは支給日の翌日に
口座に置いたままにしておくと、しばらくして残高が減っていることに気づきます。
支給日の翌日に、決めた金額を別の口座へ移してください。
手作業でも構いませんが、日付を決めておくことが大事です。口座の分け方は 先取り貯金の口座の分け方と自動化の設定 で扱っています。
使い道が思いつかないときは、置いておいて構いません
何かに使わなければもったいない、と考える必要はありません。
用途が決まっていないお金は、そのまま置いておけば次の判断のときに使えます。急いで決めた使い道より、後から必要になったときに動かせるほうが役に立ちます。
ただし、生活費と同じ口座に置いておくと混ざって消えます。別の場所に移すところまでは、やっておいてください。
賞与がない、または減った場合
ここまで賞与がある前提で書いてきましたが、そうでない方も多くいらっしゃいます。
統計のうえでも珍しいことではありません
先ほどの支給事業所数割合73.4%という数字が示しているとおり、賞与がない職場は少なくありません。
ですので、賞与を前提にした貯め方の記事を読んで焦る必要はありません。むしろ、月々の給与だけで回る形を作っているほうが、家計としては安定しています。
月々で積む形に置き換える
まとまった金額で一度に貯めるか、毎月少しずつ積むか。どちらでも到達点は同じです。
賞与がない場合は、月々の設定額を少し上げることで置き換えられます。年に数回の支出も、月ごとに割って毎月積んでおけば、その月だけ崩す事態を防げます。
進み具合の見える化については 目標や成果を見える化してお金を貯めるコツ にまとめています。
年に数回の支出を、月ごとに割っておく
賞与に頼らない形を作るうえで、いちばん効くのがこれです。
更新料や税金の納付、帰省の費用のように毎月ではない支出を、年間の合計から12で割って毎月積んでおきます。こうしておくと、その月が来ても崩さずに済みます。
賞与があるご家庭でも、この形にしておくと支給額の増減に左右されません。
減った年に、設定を止めないでください
支給額が想定より少なかった年は、貯める分を減らして構いません。ただ、設定そのものは残してください。
一度止めると、翌年に再開するのが難しくなります。金額は何度変えてもかまいませんが、続いているという状態のほうが大事です。
ご家族と使い道を分けておく
ご家庭によっては、賞与の使い道でもめることがあります。金額が大きいぶん、意見が分かれやすい場面です。
支給される前に、家族の分・共有の分・自由に使う分を分けておくと、話が進みやすくなります。入ってから相談すると、すでに使い道を思い描いている状態で交渉することになります。
家計を共有している場合の分け方は 夫婦の家計を共有するときの口座と分担の決め方 にまとめています。
まとめ:割合ではなく、必要な支出を引いてから決める
賞与をどう扱うかは、世の中の平均や「2割」といった目安では決まりません。
公的な統計で見ると、2025年の夏季賞与は支給事業所での一人平均が426,337円、支給割合は1.02か月分でした。ただし支給事業所数割合は73.4%で、賞与のない職場も相当数あります。
やることは3つです。次の賞与までに必要な支出を書き出す。
その合計を引いて、選べる金額を出す。貯める分と使う分を決めて、支給日の翌日に移す。
いくら貯まるかは、支給額も生活も人によって違うのでお約束はできません。ただ、入る前に決めておけば、その場で迷わずに済みます。
それから、賞与の額そのものは自分で決められません。
決められるのは、入ってきた分をどう置くかだけです。動かせるところに集中したほうが、気持ちの面でも楽になります。
次の支給日までに、必要な支出を書き出すところから始めてみてください。
