今年こそ貯めよう、と決めたのに、気づけば去年と同じ残高だった。
ご相談でいちばん多いのが、この状態です。
節約はしているし、無駄づかいをしている自覚もない。それなのに増えていない。
500名以上の家計を拝見してきた真鍋みゆです。
この状態の方に足りていないのは、我慢ではありませんでした。目標の作り方と、いま自分がどこにいるかを見る方法です。
この記事では、目標を3段階に分けて作り、進み具合を毎日確認しなくても分かる形にするまでをお伝えします。
貯まらない原因は、意志ではなく順番にあります
まず、よくある誤解をほどいておきます。
「余ったら貯める」は仕組みとして無理があります
給料が入って、生活費を使って、残ったら貯める。この順番だと、ほぼ残りません。
使えるお金が口座にある状態では、使い道はいくらでも出てくるからです。意志が弱いのではなく、順番のほうに無理があります。
順番を入れ替えて、入ってきた時点で先に取り分ける。これだけで結果はかなり変わります。
目標が1つしかないと、進み具合が分かりません
もう1つの原因は、目標が「100万円貯める」のように1つしかないことです。
この形だと、今月うまくいったのかどうかが分かりません。
分からないので、達成感もありません。続かないのは当然です。
目標は、期間の違うものを3つ用意してください。年・月・週の3段階です。
平均額を目標にしないでください
参考として、公的な数字も置いておきます。総務省統計局の家計調査(家計収支編)によると、2025年平均で二人以上の世帯の消費支出は1か月あたり314,001円、前年に比べて名目で4.6%の増加、物価の変動を除いた実質でも0.9%の増加でした。
ただ、この調査の二人以上の世帯は平均世帯人員2.87人、世帯主の平均年齢60.7歳です。ご家庭の構成や年齢が違えば、金額が違うのは当たり前です。
目標額は、平均から逆算するのではなく、ご自身の手取りと支出の実績から決めてください。
目標は「年・月・週」の3段階で作る
ここからが実際の手順です。上から順に、金額を分解していきます。
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何のために貯めるのかを決める
金額より先に用途を決めてください。引っ越しの費用、車の買い替え、働けなくなったときの備え。用途が決まると、必要な時期と金額が自然に出てきます。
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1年あたりの金額に割る
用途に必要な金額を、いつまでに用意するかで割ります。5年後に必要なら5で割る。これが年の目標です。
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1か月あたりに割って、届くか確かめる
年の目標を12で割ります。ここで「無理だ」と感じたら、金額ではなく時期のほうを延ばしてください。届かない目標を置くと、初月でやめることになります。
3段階にすると、毎月の判断がとても軽くなります。見るのは月の目標だけで、年や用途のことは考えなくて済むからです。
用途が思いつかないときは「使わないお金」でかまいません
具体的な目的がない方も多いです。その場合は、生活を守るためのお金として置いてください。
収入が止まったときに何か月ぶん暮らせるか。この考え方なら、目的が決まっていなくても金額を出せます。
この用途のお金は、増やすことより「必要なときにすぐ動かせること」を優先します。置き場所を選ぶときの基準が、他の目的とは違うので分けて考えてください。
用途が複数あるときは、時期の近いものから
ご相談を受けていると、貯めたい目的が3つも4つも挙がることがあります。
全部を同時に進めようとすると、どれも中途半端になります。時期がいちばん近いものを1つ選んで、まずそれだけを目標にしてください。
1つ達成できると、やり方がそのまま次に使えます。順番に片づけたほうが、結果的に早く終わります。
達成したときの場面を、具体的に思い浮かべる
目標を決めたら、それが叶ったときの場面を一度だけ具体的に想像してみてください。
金額そのものにやる気は湧きません。
引っ越した先の部屋、買い替えた車、心配のない状態。細かいところまで思い浮かべておくと、途中で迷ったときに戻る先ができます。
見る対象は「残高」ではなく「使っていい額」
見える化というと、通帳の残高を確認することだと思われがちです。でも、残高を見ても行動は変わりません。
残高は結果であって、判断材料ではありません
残高が増えているかどうかは、月末にしか分かりません。分かったときには、その月はもう終わっています。
途中で見て意味があるのは、今月あといくら使えるかのほうです。この数字が分かっていれば、買うかどうかを決められます。
口座を分けると、計算せずに分かります
いちばん簡単なのは、口座を分けてしまうことです。
生活費用の口座に、その月に使う金額だけを入れておく。残高がそのまま「あといくら使えるか」になるので、計算も記録も要りません。
固定費の引き落としは別の口座にまとめ、貯めるお金はさらに別の場所へ。
この3つに分けるだけで、家計簿がなくても状況が分かります。詳しい分け方は 家計簿が続かない人のための「記録しない家計管理」 にまとめています。
目に見える形にすると、続きやすくなります
口座の数字は、どうしても実感が薄いものです。
増えているはずなのに、増えた気がしない。この感覚は、多くの方が口にされます。
紙に月ごとの枠を書いて、達成した月に色を塗る。
硬貨で貯めているなら、入れものの重さで感じる。方法は何でもかまいません。
数字以外の形で進み具合が分かるものを1つ用意しておくと、途中でやめにくくなります。
記録するなら、金額より「やったこと」を残す
それでも何か書き残したい方には、金額ではなく行動を書くことをおすすめしています。
今月やってみたこと、うまくいったこと、次に試したいこと。数字だけの記録より、こちらのほうが後から役に立ちます。
1年後に読み返すと、同じ月に同じ理由で支出が増えていることに気づけます。来年の計画は、そこから立てられます。
入ってきた日に、先に分ける
3段階の目標のうち、実際に動かすのは月の目標だけです。そして、その処理は1回で終わらせます。
自動でうつる設定にしておく
給料日の翌日に、決めた金額が別の口座へ自動でうつるようにしておいてください。金融機関の自動送金や積立の仕組みで設定できます。
手で振り替える形にすると、その月の気分が入ります。今月は厳しいから来月に、が数回続くと、もう戻れません。
先取りの本当の効果は、金額ではなく判断の回数を月1回からゼロに減らせることにあります。
口座の分け方と自動化の設定は 先取り貯金の口座の分け方と自動化の設定 で具体的に扱っています。
引き出しにくい場所へ置く
置き場所も大事です。生活費と同じ口座にあると、月末に足りなくなったとき使ってしまいます。
キャッシュカードを持ち歩かない口座にする、一定期間引き出さない預け方にするなど、ひと手間かかる場所にしておいてください。すぐ引き出せる状態だと、貯めている意味が薄れます。
ただし、全額を動かしにくい場所へ入れないでください。急な出費に対応できないと、結局そこを崩すことになります。
金額は、続けられる額から始める
最初から高い金額を設定すると、生活が回らなくなります。
3か月続けられた実績があれば、そこから上げてください。
逆に、2か月続かなかったら金額のほうを下げます。続くことのほうが、金額より優先されます。
いくらから始めればいいかと聞かれることがありますが、決まった正解はありません。
手取りの何割という言い方をよく見かけるものの、家賃や家族構成によって使える余裕はまったく違います。まずは、なくても困らないと言い切れる金額から始めてください。
先に固定費を見てからのほうが楽なこともあります
設定してみて、どうしても生活費が足りなくなる場合は、貯める金額ではなく支出のほうを見直す番です。
とくに家賃や通信の契約は、一度手続きをすれば翌月以降も効果が続きます。
毎月がんばらなくていいぶん、食費や日用品を削るより負担が軽いです。順番については 固定費を抑えて節約をする3つの方法 をご覧ください。
止まってしまったときの立て直し方
どんなに仕組みを作っても、うまくいかない月はあります。そこでやめてしまわないための準備を、先にしておいてください。
崩した月を「失敗」にしない
急な出費で貯めたお金を使うことは、失敗ではありません。そのために貯めていたからです。
問題になるのは、崩したあとに設定を止めてしまうことのほうです。使ったなら、また同じ設定で積み直せば済みます。
臨時収入の扱いを先に決めておく
賞与や還付金のように、毎月ではないお金が入ることがあります。ここの扱いを決めていないと、月の設定がうまくいっていても総額が伸びません。
入る前に、何割を貯めるかだけ決めておいてください。全額を貯める形にすると反動が出やすいので、使う分も残しておくほうが続きます。
賞与の扱い方については みんなどれくらいボーナスを貯金しているの? でも触れています。
誰かに話しておく
一人で続けるのが難しいと感じるなら、家族や親しい友人に伝えておくのも一つの方法です。
ただし、金額まで言う必要はありません。
「今年は貯める年にする」くらいで十分です。人に話したことは、自分の中でも扱いが変わります。
目標のほうを直す
2か月続けて届かなかったら、がんばり方ではなく目標を見直してください。
金額を下げるか、期限を延ばすか、用途を絞るか。
どれを選んでも構いません。届かない目標を持ち続けることのほうが、家計にとっては負担です。
目標を下げることに抵抗を感じる方は多いのですが、下げた目標を達成するほうが、高い目標に届かない状態を続けるより先に進みます。数字は途中で何度変えてもかまいません。
収入が変わったときは、必ず設定を見直す
転職、異動、働き方の変更。収入が変わったのに設定をそのままにしていると、どちらかに無理が出ます。
増えたときは、生活の水準を上げる前に先取りの額を上げてください。
この順番だと、増えた実感がないまま貯まっていきます。逆に減ったときは、早めに金額を下げて設定そのものを守ってください。
3か月に一度、数字を見直す
最後に、点検の仕方です。毎月見る必要はありません。
見るのは3つだけ
- 決めた金額が、毎月きちんと移っているか
- 移したあとの生活費が足りているか(足りずに崩していないか)
- 年の目標に対して、いまどのあたりにいるか
この3つが確認できれば十分です。項目を増やすと、点検そのものが続かなくなります。
3か月という間隔にも理由があります。
毎月見ると数字の上下が気になって、うまくいっていても不安になりますし、半年空けるとずれに気づくのが遅くなります。3か月なら、季節ごとの支出の波もひととおり入ります。
点検の日は、あらかじめカレンダーに入れておいてください。思い出したときにやる形にすると、たいてい忘れます。
年に一度は全体を見る
3か月ごとの点検とは別に、年に一度だけ全体を見直す日を作ってください。契約や保険、通信の料金プランなど、放っておくと古いままになるものがあります。
確認する項目は 家計の見直しを年1回やるためのチェックリスト にまとめてあります。
まとめ:目標を3つに分けて、月の1つだけを自動にする
貯金が続かないのは、意志の強さの問題ではありません。目標が1つしかなく、毎月自分で判断していることのほうが原因です。
用途を決めて、年に割って、月に割る。
その月の金額だけを自動で移す設定にする。見るのは残高ではなく、生活費口座に残っている金額。
いくら貯まるかは、収入も家族構成も違うのでお約束できません。ただ、この形にすると、貯まらない月があってもすぐ立て直せます。
そして、途中で目標を変えることを恐れないでください。
生活の事情は変わりますし、そのたびに数字を直していいものです。変えられる形にしておくことが、続けるための条件でもあります。
まずは、何のために貯めるのかを1つ書き出すところから始めてみてください。金額はそのあとで大丈夫です。
