若手Webマーケター/SNSグロースプランナーの早瀬優人です。
AIで画像を作れるようになって、それを仕事にできないかと考える人が増えましたが、いざ受注しようとすると権利まわりで手が止まります。
僕自身も画像を納品する案件を初めて受けたとき、「この画像は商用で使っていいのか」を自分で説明できず、着手前に調べ直したことがありました。実際のところ、この分野は権利まわりの理解を飛ばして進めると、あとで大きなトラブルになります。
この記事では、AI画像生成を副業にする方法を押さえてから、著作権で気をつけるべき点を段階を追って整理していきます。
AI画像生成でお金になる仕事の形
まずは、どんな形の仕事があるのかを押さえてから、権利の話に進んでいきます。
主な3つのパターン
- 素材の作成……ブログのアイキャッチ、SNS投稿用の画像、資料の挿絵など
- デザインの下地作り……バナーやサムネイルのラフを作り、加工して仕上げる
- アイデア出しの補助……構図やイメージの候補を複数出し、方向性を決める材料にする
どれにも共通しているのは、生成したままの状態では納品物として渡せないという点です。
加工と調整が仕事の中身になる
生成した画像には、文字を入れてからサイズを整え、さらに色味を合わせるといった作業が必要になります。
ここでつまずく人が多いのですが、画像編集ソフトの基本操作ができないと、この工程で手が止まってしまいます。
AIが作れるのは素材のところまでで、そこから先の仕上げは人の作業として残ります。
著作権の考え方は「段階」で分けて見る
ここからが本題になりますが、著作権の話は学習の段階と生成・利用の段階に分けて追っていくと、ぐっと整理しやすくなります。
段階1:AIが学習するとき
まず1つ目は、AIの開発者が既存の作品を学習用のデータとして使う段階です。
日本の著作権法には第30条の4という規定があり、作品を「思想や感情を楽しむ目的ではなく」利用する場合には、権利者の許可なく使えるとされています。
ただしこの規定には、権利者の利益を不当に害する場合は適用されない、という但し書きがあります。どこからが「不当に害する」のかは議論が続いている論点です。
なお、2026年7月時点でこの条文自体の改正は行われていません。
段階2:画像を生成し、使うとき
2つ目が生成と利用の段階で、副業として関わる人が直接気をつけるべきなのはこちらになります。
生成した画像が既存の作品と似ていて(類似性)、かつその作品をもとに作られたと判断される場合(依拠性)、著作権侵害になりうるとされています。
特定の作家名やキャラクター名をそのまま指示に入れて生成するやり方は、この2つの条件に照らすと危うくなります。
詳しい考え方は、文化庁のAIと著作権についてで公開されています。仕事にするなら、一度は目を通しておいてください。
実務で判断が必要になる場面
権利の話は抽象的になりやすいので、実際に判断を求められる場面を挙げておきます。
- 納品した画像を、クライアントがロゴとして使いたいと言ってきた……長期利用かつ独占性が求められるため、事前に用途を確認しておく必要があります
- 生成した画像が、既存の作品に似ていると指摘された……指示文に特定の作風を入れていないかを記録から確認します
- 別の案件で同じ画像を使いたい……前の案件で独占的な利用を約束していないかを契約から確認します
- ツールの規約が改定された……過去に生成したものへ遡って適用されるかを確認します
いずれも、生成の時点で記録を残しておけば答えられる内容です。
逆に記録がないと、確認のしようがありません。
判断に迷う場面が出たら、自己判断で進めず、クライアントと合意を取ってから動くほうが安全です。
「AI画像は著作権フリー」は誤りです
ここは誤解が広く出回っている部分なので、順番を変えてでもはっきり書いておきます。
誰の権利も発生しない、わけではない
AIで生成した画像だからといって、どんな使い方でも自由にできるわけではありません。
先に述べたとおり、生成物が既存の作品に似ていれば、その作品の権利者との関係で問題になりえます。
「AIが作ったから権利は関係ない」という理解は、明確に誤りです。
自分に著作権が生じるかは、ケースバイケース
では、自分が生成した画像の権利は自分のものになるのかというと、これは一律には決まりません。
簡単な指示を入れただけで出力されたものについては、著作物としての保護が認められにくいと考えられています。
一方で、生成した素材に大きく手を加えたうえで創作性が認められる場合には、その手を加えた部分について保護される可能性があります。
順番として、「自分の権利がどうなるか」より先に「他人の権利を侵していないか」を確認するほうが実務的です。
納品後に権利がどう扱われるか
生成した画像を納品したあと、その画像を誰がどう使えるのか。ここを決めずに進めると、後で困ります。
確認しておきたいのは次の3点です。
- 納品後の利用範囲……webのみか、印刷物も含むか、期間の定めはあるか
- 第三者への再提供の可否……クライアントがさらに別の会社へ渡す想定があるか
- 修正・改変の可否……納品後に相手側で加工することを認めるか
この3点は、AI生成かどうかに関係なく発生する確認事項です。
ただしAI生成の場合、自分に著作権が生じているとは限らないため、「譲渡します」と安易に書けない点が違います。
書き方としては、権利を譲渡する形ではなく、利用を許諾する形にしておくほうが実態と合いやすくなります。
契約書の文言に迷う場合は、専門家に確認してください。ここは自己判断で進めない部分です。
著作権とは別に、利用規約の確認が要る
権利の話が片づいて安心してしまい、ここを見落とす人が非常に多いところです。
商用利用の可否はツールが決めている
著作権法の話とはまったく別に、使っているAIツールの利用規約が商用利用を認めているかどうかという問題があります。
ツールによって、次のような違いがあります。
- 無料プランでは商用利用を認めていない
- 生成物の権利の扱いがプランによって変わる
- 特定の用途を禁止している
法律上問題がなくても、規約違反であれば契約上の責任を問われます。この2つは別の話として、両方を確認してください。
規約は変わる前提で見る
AIツールの規約は、機能の追加や料金プランの変更にあわせて改定されることがあります。
継続的に仕事で使っていくなら、契約更新のタイミングなどで定期的に読み直す習慣を持っておくと安心です。
権利まわりを押さえたら、実際にどんな依頼があるかを見てみるのが次の一歩です。
登録は無料でできるので、画像制作の募集条件を眺めてみてください。
クライアントへどう説明するか
AI生成であることを伝えるかどうかで迷う方は多いです。
僕の考えは明確で、聞かれる前に伝えておくほうが、結果的にトラブルが減ります。
伝え方は、事実を並べるだけで足ります。使ったツール名、生成後にどこを加工したか、商用利用が規約上どう扱われているか。
この3点を最初のやり取りで書いておくと、納品後に前提が食い違う事態を避けられます。
逆に伏せて進めると、後から発覚したときに信頼の問題へ発展します。
クライアント側にも、自社の広告で使えるかどうかという判断があります。
判断材料を渡さないまま納品するのは、相手にリスクを預けることと同じです。
トラブルを避けるための実務
ここからは受注する側として、着手の順に押さえておきたい点を4つ挙げていきます。
1. AI使用の可否を先に確認する
案件によっては、AIで生成した画像をそのまま納品することを認めていない場合があります。
AIの使用が一律に禁止されているわけではありませんが、依頼側がルールを定めていることがあります。募集要項に記載がなければ、着手前に確認してください。
2. 特定の作風を指示に使わない
実在の作家名やキャラクター名を指示にそのまま入れる方法は、避けておくほうが安全です。
依拠性を問われる材料になりますし、結果として依頼主にも迷惑がかかることになります。
3. 生成の記録を残しておく
どんな指示で生成し、どこをどう加工したかを残しておくと、あとで説明を求められたときにその場で答えられます。
一見すると手間に見えますが、継続して仕事にしていくなら残しておく価値があります。
4. 契約で権利の扱いを確認する
納品した画像の権利がどちらに帰属するかは、法律ではなく個別の契約で決まります。
AIで生成したことを伝えるかどうかも含めて、受注する前に合意しておくとトラブルを避けられます。
学習データについて聞かれたときの答え方
「そのAIは何を学習しているのか」と聞かれることがあります。
ここで曖昧に答えると、話が止まってしまいます。
正直に言えば、多くのツールは学習データの内訳を公開していません。分からないものは分からないと答えるのが誠実です。
そのうえで、こちらが説明できるのは次の範囲になります。
- 使ったツールの利用規約で、商用利用がどう定められているか
- 生成物の権利の扱いが、規約上どうなっているか
- 特定の作家名や作風を指示に含めていないこと
答えられる範囲を先に整理しておくと、質問されても止まらずに済みます。
リスクが高い案件の見分け方
受ける前の段階で、避けたほうがよい案件の特徴があります。
ひとつは、特定の作品や作家に「寄せてほしい」という依頼です。
もうひとつは、ロゴやキャラクターなど、長く使われることが前提の用途です。
後から権利の問題が出たときに、影響範囲が大きくなります。
3つ目は、AIを使うこと自体を伏せるよう求められる場合ですね。
この条件が付く案件は、後で問題が起きたときの責任の所在が曖昧になりやすいので、僕は受けないようにしています。
作業の記録として残しておくもの
本文で生成の記録を残すよう書きましたが、何を残せばよいか迷う方が多いところです。
僕が実際に保存しているのは次の4つになります。
- 使用したツール名とバージョン、生成した日付
- 入力した指示文(そのままの形で)
- 生成された元の画像(加工前)
- 加工の内容と、使用した素材の出所
フォルダを案件ごとに分けて、そこへまとめて置いておくだけで足ります。
この記録があると、後から問い合わせが来たときに、何をどう作ったかを事実として答えられます。
記憶に頼って答えると、細部が違っていたときに話がこじれます。
保存期間は、その画像が使われている間は残しておくのが安全です。
ツールを乗り換えるときの確認
画像生成のツールは入れ替わりが早く、乗り換える場面が出てきます。
そのときに確認したいのは、機能や画質より先に規約の3点です。
- 商用利用が認められているか、条件は何か
- 生成物の権利について、どう定めているか
- 入力した内容が学習に使われるか、除外設定はあるか
3つ目は、クライアントから預かった資料を入力する場合に直結します。
無料プランと有料プランで扱いが違うツールもあるため、自分の契約している範囲で確認してください。
迷ったら受けない、という判断もある
権利や規約の判断がつかない案件は、無理に受けなくて構いません。
断ることで失うのは1件分の報酬ですが、判断を誤ったときに失うものはそれより大きくなります。
確認しても分からない条件が残るなら、その状態を相手に伝えたうえで判断を仰ぐのが誠実です。
まとめ:法律と規約、両方を確認してから受ける
AI画像生成を副業にする方法と、著作権の注意点を整理してきました。
押さえるべきなのは、まず学習段階と生成・利用段階を分けて考えること、次に「AI画像は著作権フリー」という理解が誤りだと知っておくこと、そして著作権とは別に利用規約の確認が要ることの3点です。
法律上の問題と、ツールの規約上の問題。この2つは別物です。両方を確認して初めて、安心して受注できます。
個別の判断に迷う場合は、文化庁の公開資料を確認するか、必要に応じて専門家に相談してください。
まずは自分が使っているツールの利用規約を開いて、商用利用の条件がどう書かれているかを確認するところから手をつけてみてください。
AI副業の全体像は生成AIでできる副業10種類と、それぞれに必要なスキルにまとめています。
