若手Webマーケター/SNSグロースプランナーの早瀬優人です。
AIツールを仕事で使い始めると、気づかないうちに月額の支払いが積み上がってきます。
僕も複数のサービスを契約していて、確定申告の直前に合計してみたら無視できない金額になっていて、按分の根拠を書けずに手が止まった年がありました。実際のところ、これは経費にできるのかという疑問は誰にでも出てきます。
この記事では、AIツールの費用を副業の経費として扱う際の考え方を、科目の決め方から按分、記録の残し方まで順に整理していきます。
結論:業務で使っているなら経費にできる。ただし条件がある
細かい話に入る前に、先に全体像をお伝えしておきます。
経費になるかの基準
経費として認められるかどうかは、その支出が副業の業務と関連しているかどうかで判断されます。
記事の執筆にAIを使っている、資料作成に使っているといった業務上の必要性を示せるなら、経費として計上できます。
問題になるのは、私用でも同じツールを使っている場合です。
私用と兼用なら按分が必要
仕事とプライベートの両方で使っているものは、支払った金額の全額をそのまま経費にはできません。
国税庁のNo.2210 必要経費の知識では、こうした支出(家事関連費)について、業務上直接必要であったことが明らかに区分できる部分に限って経費にできるとされています。
つまり、「業務で使った割合」を説明できる形にしておく必要があります。
迷いやすい支出の扱い
AI関連の支出は、ツールの月額だけではありません。
判断に迷うものを、考え方と一緒に並べておきます。
- 従量課金の利用料……使った分だけ発生するもの。業務での使用分は月額と同じ考え方で扱います
- オンライン講座の受講料……業務に必要なスキルの習得なら対象になり得ます。趣味の範囲との線引きは説明できる形にしておきます
- 書籍……業務に関連するものは対象。私用と混ざる場合は分けて記録します
- パソコンの買い替え……金額によって処理の方法が変わります。一括で費用にできるか、複数年に分けるかの判断が必要です
- 通信費……自宅の回線を業務にも使っている場合は按分します
共通しているのは、業務との関連を自分の言葉で説明できるかどうかです。
金額が大きいものや判断に迷うものは、処理を決める前に税理士や税務署へ確認してください。
AIツールの費用は、どの科目で処理するか
ここからは、実際に帳簿に落とすところまで話を進めます。
一般的には通信費か消耗品費
クラウド型のサービス利用料は、通信費や消耗品費、あるいは支払手数料といった科目で処理されることが多いです。
科目そのものより、一度決めた科目を毎年変えないことのほうが大切です。年ごとに科目が変わると、あとで見返したときに比較できません。
年払いにした場合の注意
年払いで契約すると、支払った時点でまとめて1年分の費用が発生することになります。
決算期をまたぐ場合の扱いは条件によって変わるため、金額が大きいときは税務署や税理士に確認してください。
按分の計算をやってみる
割合の考え方だけでは進めにくいので、手順を追って計算してみます。
前提として、月額3,000円のツールを、副業と私用の両方で使っているとします。
まず1週間、そのツールを使った時間を用途ごとに記録します。
副業の作業で6時間、私用で2時間だったとします。
この場合、業務での使用割合は8時間中6時間なので75%になります。
月額3,000円のうち、経費として計上するのは2,250円という計算です。
大事なのは割合の精密さではなく、その割合を出した根拠を説明できることです。
記録した1週間の使用状況をメモとして残しておけば、根拠になります。
季節や案件の増減で使い方が変わる場合は、年に1回見直して構いません。
按分の割合をどう決めるか
ここが実務で最も迷う部分なので、決め方を順を追って説明します。
使用時間で考えるのが基本
AIツールは自宅の家賃のように面積で按分できないので、使っている時間の割合で考えるのが現実的です。
順番として、まず1週間ほど実際の使い方を記録してみてください。
- 業務のために使った回数・時間
- 私用(趣味の調べもの、家庭のことなど)で使った回数・時間
この記録をもとに割合を出しておけば、あとから聞かれても根拠を示せる数字になります。
業務専用の契約なら全額
私用ではまったく使わず、副業のためだけに契約しているツールであれば、全額を経費として計上できます。
この場合も、業務でどう使っているかを口頭で説明できる状態にはしておいてください。
割合を高くしすぎない
ここでつまずく人が多いのですが、経費を増やしたいという理由で実態より高い割合を設定するのは避けてください。
按分の考え方は家事按分の考え方と、税務署に説明できる根拠の残し方で詳しく解説しています。
ツールの費用が複数になってくると、手作業での管理は抜けが出ます。
クラウド会計ソフトを使えば、カードの明細から自動で取り込めるので、計上漏れを防げます。
複数のツールを契約している場合
AI関連のツールは、気づくと契約数が増えていることがあります。
月額が小さいものが多いので、合計を把握していない方が少なくありません。
年に1回、次の形で一覧にしてみてください。
- ツール名と月額(年払いの場合は12で割った額)
- 直近1か月で使った回数
- 使わなくなった場合、代わりに何を使うか
3つ目を書けないツールは、実は業務に組み込まれていない可能性があります。
使っていないものを経費として計上し続けるのは、金額の問題以前に説明が難しくなります。
機能が重複しているものがあれば、片方に寄せられないかも見てみてください。
解約を判断する目安
契約したものの、使う頻度が落ちてきたツールをどうするか。
迷ったときは、次の月だけ意識して使ってみて、それでも回数が増えなければ解約で構いません。
年払いにしている場合は、更新月の1か月前に判断する予定を入れておいてください。
更新日を過ぎてから気づくと、使わないまま1年分の費用が発生します。
解約したあとで必要になれば、また契約すれば済む話です。
データの引き出しだけ、解約前に済ませておくのを忘れないでください。
費用対効果をどう見るか
経費にできるかどうかとは別に、そもそもその金額を払う価値があるのかという判断も要ります。
時間で換算してみる
判断に迷ったら、月額の費用を自分の時間単価で割ってみてください。
たとえば時間単価を2,000円と考えるなら、月3,000円のツールは「月に1時間半以上の短縮になれば元が取れる」計算になります。
この見方をすると、契約するかどうかの判断がしやすくなります。
使っていないものを見直す
AIツールは次々に新しいものが出てくるので、試したまま解約を忘れて課金が続いているケースがよくあります。
月に一度、契約している有料サービスの一覧を確認する習慣を作ってください。
経費にできるからといって、使っていないものにお金を払い続ける理由にはなりません。
無料プランで足りるかを先に試す
多くのAIツールには無料で使える範囲が用意されていて、そこで業務の中身をひととおり試せます。
順番として、まず無料の範囲で自分の業務に合うかを確かめてから、有料プランを検討するほうが無駄が出ません。
年に一度やっておきたい整理
確定申告の前にまとめてやろうとすると、必ず時間が足りなくなります。
おすすめしたいのは、年に一度、決まった月に整理する形です。
やることは3つだけになります。
ひとつ目は、契約しているツールの一覧を作り直すこと。解約したもの、増えたものを反映します。
ふたつ目は、按分している割合が実態と合っているかの確認です。
案件の内容が変われば、業務での使用時間も変わります。1週間だけ記録し直せば足ります。
3つ目は、領収書や利用明細が保存できているかの点検ですね。
電子取引で受け取ったデータは、要件に沿った形で保存しておく必要があります。
ダウンロードし忘れているものがないか、この機会に確認しておいてください。
サービスによっては、過去の明細を遡って取得できる期間に制限があります。
記録の残し方
経費として計上するなら、支払った時点であとから説明できる状態にしておく必要があります。
領収書はデータのまま保存する
AIツールの領収書は、紙ではなくメールやWeb画面で発行されることがほとんどです。
こうした電子データで受け取ったものは、印刷せずデータのまま保存する必要があります。詳しくは電子帳簿保存法で個人が本当にやるべき保存方法で解説しています。
何に使ったかをメモする
明細にツール名が残っているだけでは、あとから見返したときに何のための支出か分からなくなります。
「記事執筆の下書き作成に使用」「クライアントAの資料作成に使用」といった一言を添えて残しておくと、説明しやすくなります。
説明を求められたときに出せるもの
経費として計上したあと、内容について確認を受ける場面があります。
そのときに出せる状態にしておきたいのは、次の3つです。
- 領収書または利用明細……電子取引のデータは、要件に沿った形で保存します
- 業務との関連が分かるメモ……どの案件で何に使ったか
- 按分している場合は、その根拠……使用時間の記録など
逆に言えば、この3つが揃っていれば、金額の大小にかかわらず説明はできます。
判断に迷う支出は、計上するかどうかを決める前に、この3つを用意できるかで考えてみてください。
用意できないものは、無理に計上しないほうが結果的に楽です。
個別の判断が必要な場合は、税務署や税理士に確認してください。
経費にするかどうかで迷ったときの順番
最後に、判断に迷ったときの考える順番をまとめておきます。
まず、その支出が業務に必要だったかを自分に問います。ここで答えられないものは、そもそも対象になりません。
次に、私用でも使っているかを確認します。使っているなら按分が必要です。
3つ目に、按分の根拠を出せるかを考えます。使用時間の記録でも、業務専用の契約であることでも構いません。
最後に、領収書や明細が保存されているかを確認します。
この4つを順に通って残ったものだけを計上する、という形にしておくと判断がぶれません。
途中で止まったものは、無理に計上せず保留にしておいてください。
金額の大きいものや判断が難しいものは、税務署や税理士に確認したうえで決めるのが確実です。
開業前に払った費用の扱い
副業を始める前に契約したツールの費用も、業務のために使ったものなら対象になり得ます。
ただし処理の方法が通常の経費と異なる場合があるため、開業前の支出は分けて記録しておいてください。
領収書に日付が残っていれば、後から判断できます。
迷う場合は、開業届を出す時点で税務署に確認しておくと確実です。
まとめ:業務との関連を説明できる形にしておく
AIツールの費用を経費として扱う考え方を整理してきました。
ポイントは、業務で使っているなら経費にできること、私用と兼用なら使用時間で按分すること、その割合を実態より高くしないこと、そして領収書と用途の記録を残しておくことの4点です。
「月額◯円だから全額経費」と決めつけず、自分の使い方を説明できる割合で計上する。これが安全な進め方です。
なお、この記事は一般的な考え方の整理です。個別の判断は状況によって変わるため、最終的には国税庁の情報を確認するか、税務署・税理士にご相談ください。
まずは契約中のAIツールを一覧に書き出して、それぞれ業務で使っている割合を記録するところから手をつけてみてください。
経費の全体像は副業の経費にできるもの・できないものの線引きにまとめています。
