業務効率化コンサルタントの斎藤ほのかです。
机に向かったのに、気づくと別のことをしている。副業の時間を確保できた人の多くが、次にここでつまずきます。
この状態を「集中力がない」で片づけてしまうと、打ち手が精神論になります。まず、原因を分けて考えます。
集中を妨げている要因を切り分けてから、費用をかけずにできる対策の順に進みます。
見分けがつかないときの試し方
環境の問題かタスクの問題か、判断がつかないこともあります。
そのときは、同じタスクを別の場所でやってみてください。
場所を変えて進むなら環境、変えても進まないならタスクの側に原因があります。
この確認は1回で足ります。
集中を妨げている要因は2種類ある
最初に、いちばん大事な切り分けをします。
環境の問題か、タスクの問題か
集中が途切れるとき、原因は次のどちらかです。
- 環境の問題……通知、音、視界に入るもの、家族の声かけ
- タスクの問題……何をすればいいかが決まっていないため、手が止まる
見落とされやすいのはタスク側です。作業内容が曖昧なまま座ると、人は無意識に逃げやすいほうへ流れます。
見分け方
次の質問に答えてみてください。
いま座って、最初の1手として何をしますか。10秒で答えられなければ、タスク側の問題です。
「記事を書く」は答えになっていません。「見出し3の本文を書く」まで具体化されていれば、手は動きます。
タスクを具体化する手順はタスクが終わらない原因を見積もりのズレから直す方法で扱っている工程分解と同じ考え方です。
通知を止める範囲を決める
通知を止める、と書きましたが、全部を止められない事情もあると思います。
その場合は、時間帯で分けてください。
作業に充てる時間帯だけ、通知を絞る形です。
絞るときの優先順位は次のようになります。
- まず切る……SNS、ニュース、アプリからの案内
- 音だけ切る……メール、チャット。画面には残るが音では割り込まれない
- 残す……電話、家族からの連絡
すべてを遮断するより、この3段階に分けるほうが現実的です。
止めた時間帯を周囲に伝えておくと、緊急の連絡は電話に回してもらえます。
費用ゼロでできる対策
道具を買う前に、無料でできることを先に済ませます。効果が大きい順に並べます。
1. 通知を止める
最も効果があるのがこれです。
作業時間のあいだ、スマートフォンを機内モードにするか、別の部屋に置く方法があります。手元にあるだけで気が散るなら、視界から外すのがいちばん確実です。
パソコン側も、チャットとメールの通知を切ります。先に決めておくのは「見る時刻」です。
作業の前後に見ると決めてしまえば、途中で気になりません。
2. 最初の1手を紙に書く
座る前に、これからやることを1行だけ紙に書いて机に置きます。
画面の中のメモではなく紙にするのは、作業中にずっと視界に残るからです。迷ったときに視線を戻す先ができます。
3. 視界から余計なものを外す
机の上に、いまの作業に関係ないものを置かないでください。
片づけを始めると本題に入れなくなるので、いったん箱にまとめて視界の外に出すだけで構いません。
4. 時間を区切る
終わりの時刻を決めずに始めると、集中の質が落ちます。
25分や45分など、自分が保つ長さで区切って、区切りごとに立ち上がるとリズムが保てます。長さは人によって違うので、他人の数字をそのまま使わず、2〜3回試して決めるのがおすすめです。
作業の種類ごとに、必要な集中の質が違います
集中が続かない、とひとくくりにする前に、作業の種類を見てみてください。
私が現場で分けているのは、次の3種類です。
- 考える作業……構成を組む、方針を決める。中断に弱く、まとまった時間が要ります
- 作る作業……書く、資料を組み立てる。ある程度は中断から戻れます
- 片づける作業……返信、整理、体裁を整える。細切れの時間でも進みます
集中が切れやすいと感じている作業が、どれに当たるかを確認してください。
考える作業を細切れの時間に入れていると、環境をどれだけ整えても進みません。
原因を分けて考えます。環境の問題に見えて、実は割り当ての問題であることが少なくありません。
対処としては、考える作業だけを1日1枠、まとまった時間に固定してしまう形をおすすめしています。
始める前の判断を減らしておく
環境を整えるのと同じくらい効くのが、座る前に判断を終わらせておくことです。ここは2つに分けて考えます。
始める合図を1つ決める
いつ・どこで始めるかを毎回決めていると、そのたびに判断が要ります。
時刻と場所を固定するか、既にある行動の直後につないでしまう方法があります。「夕食の片づけが終わったら机に向かう」のように、日常の動作に紐づけると迷いが減ります。
コーヒーを入れる、タイマーを押す、机を拭く。同じ動作を毎回繰り返すと、それ自体が作業に入る合図として働きます。
次の1手は、前日のうちに決めておく
本業を終えた後は、判断する力が落ちています。その状態で「今日は何をやろうか」と考えると、決めるだけで時間が終わります。
対策は、作業を終えるときに次にやることを1行書いてから閉じることです。翌日は、その1行を見て座るだけになります。
前夜に決めておく形にすると、疲れている日でも手が動きます。1日の中でどこに作業時間を置くかは副業と本業を両立する人のスケジュールの組み方で整理しています。
自宅以外の選択肢も持っておく
自宅でどうしても集中できない場合、場所を変えるという方法があります。
選ぶときの基準は、静かさより他人の目があるかどうかです。
周囲に人がいると、別のことを始めにくくなります。
ただし、費用と移動時間がかかりますので、毎回使う前提では組まないでください。
週に1回、まとまった作業をする日だけ使う。この形にすると負担が抑えられます。
先に決めておくのは、そこで何をするかです。場所を変えてから考え始めると、移動した意味が薄れます。
自宅で集中するための工夫
在宅で作業する場合、職場とは違う難しさがあります。
場所と作業を結びつける
同じ机で食事もし、動画も見ていると、座っても作業モードに入りません。
専用の部屋を用意する必要はありません。机の一角だけを作業用にする、作業のときだけ椅子の向きを変えるといった小さな区別で十分に効きます。
家族がいる場合は先に伝えておく
声をかけられて中断するのは避けられませんが、頻度は下げられます。
「この時間は作業する」と先に伝えておくだけで、緊急でない用件は後回しにしてもらえます。伝え忘れたまま不機嫌になるのが、いちばん消耗します。
家族の生活時間と重ねない
同じ家にいる以上、完全に切り離すことはできません。
ただ、家族が寝ている時間、外出している時間など、割り込みが構造的に入らない枠は探せます。仕組みにしてしまえば、気分に左右されにくくなります。
続けるための設計そのものは副業の作業を習慣化する仕組みと、挫折したときの戻し方で扱っています。
時間を区切るときの長さの決め方
時間を区切る方法は知られていますが、長さの決め方まで書かれていることは多くありません。
一般的には25分が紹介されますが、これが合わない方もいます。
目安としてお伝えしているのは、集中が切れる直前の長さより、少し短く設定することです。
50分続いてから切れるなら、40分で区切ります。
切れる前に止めるのがコツで、切れてから休むと再開の負荷が上がります。
自分の長さが分からない場合は、1週間だけ測ってみてください。
作業を始めてから、別のことをし始めるまでの時間を記録するだけです。
作業の種類によっても変わりますので、種類ごとに分けて記録できるとより正確になります。
道具を検討する場合
ここまでの対策を試したうえで、それでも環境側に問題が残る場合の話をします。
買う前に、何を解決するのかを決める
道具は、特定の問題に対してだけ効きます。
- 音が気になる……耳栓、ノイズキャンセリング機能のあるイヤホン
- 姿勢が保たない……椅子、机の高さの調整
- 画面が狭くて作業が滞る……外部ディスプレイ
- 時間の区切りを忘れる……タイマー(スマートフォンのアプリでも可)
解決したい問題が言葉にできないうちは、買っても使わなくなります。先に決めておくのは、何を解決したいかのほうです。
効果には個人差があります
集中に効く環境は人によって違います。無音がいい人もいれば、少し音があるほうが進む人もいます。
この記事で挙げた対策も、全員に同じ効果があるとは限りません。1つずつ試して、自分に合うものだけ残してください。
先に小さく試す
高価なものを検討しているなら、まず安価な代替で試してみる方法があります。
耳栓で改善するならイヤホンは要らないかもしれませんし、本を積んで画面の高さを変えるだけで姿勢の問題が解ける場合もあります。
中断されたあと、戻るまでの時間を短くする
集中が切れる原因は、始めるときだけではありません。
途中で声をかけられたり、別の依頼が入ったりすると、そこから戻るのに時間がかかります。
この戻り時間を短くする方法があります。
中断されたら、作業に戻る前に「次に何をするつもりだったか」を一行メモに残すことです。
付箋でも、画面の端のメモ帳でも構いません。
これがあると、戻ったときに思い出す工程を飛ばせます。
もうひとつ、キリのいいところで止めないという方法もあります。
あえて書きかけで止めておくと、戻ったときに続きから手が動きます。
完成させてから休憩すると、次に始めるときの負荷が高くなるためです。
仕組みにしてしまえば、意志の力に頼らずに戻れます。
それでも集中が続かないとき
環境もタスクも整えたのに続かない場合、別の要因を疑います。
単純に疲れている
睡眠が足りていない状態では、環境を整えても集中は戻りません。
作業時間を削ってでも眠ったほうが、翌日の総量は増えます。ここは削らないと先に決めておくと迷いません。
作業量が多すぎる
抱えている量が可処分時間を超えていると、何から手をつけても終わらない感覚が続きます。
この場合に必要なのは集中ではなく、量を減らす判断です。全体の組み方は副業と本業を両立する人のスケジュールの組み方で整理しています。
環境を変えても効かなかった場合
通知を止めて、視界を整えて、時間も区切った。それでも続かないことがあります。
その場合、環境ではなくタスクの側に原因があります。
確認していただきたいのは3点です。
ひとつめは、次に何をするかが具体的に決まっているか。「資料を作る」では手が動きません。
ふたつめは、その作業の完了条件が決まっているか。どこまでやれば終わりかが曖昧だと、集中が続きません。
3つめは、そもそもその作業をやる理由に納得しているか。
3つ目に引っかかっている場合、環境をどれだけ整えても解決しません。
原因を分けて考えます。集中の問題に見えて、意思決定の問題であることは少なくありません。
集中できた日の条件を記録する
うまくいかない日ばかりを見ていると、対策が思いつきません。
そこで、集中できた日の条件を記録してみてください。
時間帯、場所、その前に何をしていたか、睡眠時間。この4つだけで足ります。
共通点が見つかれば、それが自分にとっての再現条件になります。
先に決めておくのは、記録する項目です。毎回違うことを書くと比べられません。
整えた環境も、しばらくすると元に戻ります。
月に一度、机の上と通知の設定を見直す日を決めておいてください。
まとめ:環境の前に、タスクを具体化する
手をつける順に、整理しておきます。
原因は環境の問題とタスクの問題に分かれ、後者のほうが多く見られます。まず通知を止めて最初の1手を紙に書き、視界を整理して時間を区切る。
道具の検討はその後です。
座ってから何をするか考える状態を作らないこと。集中の話の大半は、この一点に集約されます。
次に作業を始める前に、最初の1手を1行だけ紙に書いて、机の見えるところに置く。
道具を検討するのは、これを3回試してからで足ります。順番を逆にすると、使わない道具だけが増えます。
