業務効率化コンサルタントの斎藤ほのかです。
副業を始めて2週間は毎日できたのに、1日休んだらそのまま止まった。この形の挫折は、とてもよく見かけます。
ここで多くの人は「続ける意志が足りない」と考えます。ただ、止まった経緯を聞いていくと、問題は意志ではなく設計のほうにあります。
挫折を前提に置いた習慣化の仕組みを組み立てて、途切れた後の戻し方まで用意しておきます。
始めるタイミングを選ぶ
新しい習慣を始める時期にも、向き不向きがあります。
繁忙期や、生活が変わる直前に始めると、まず続きません。
始めるなら、今後1か月に大きな予定が入っていない時期を選んでください。
逆に、避けたほうがよいのは次のような時期です。
- 異動や引っ越しの前後
- 本業の繁忙期
- 体調を崩している最中
- すでに別の習慣を始めたばかりのとき
最後の項目は見落とされやすい部分です。
同時に2つ始めると、どちらも中途半端になります。1つが安定してから次に進んでください。
習慣化が続かない理由
まず、止まる仕組みのほうを見ておきます。
連続記録を目標にすると、途切れた時点で終わる
「毎日やる」を目標にすると、1日休んだ瞬間に記録がゼロになります。
問題は1日休んだことではなく、休んだ後に戻る手順が用意されていないことです。連続記録を守る設計は、1回の中断で全部を失います。
ハードルが高いまま始めている
「毎日2時間」のような設計は、調子のいい週には回りますが、忙しい週に必ず崩れます。
崩れる前提で作るなら、最低ラインはもっと下に置く必要があります。
「何日で習慣になる」は当てにしない
習慣化にかかる期間については諸説あり、内容や個人によって差が大きいことが指摘されています。
特定の日数を目標にすると、その日を過ぎても定着していないときに落胆します。日数は基準にしないでください。
やる時間ではなく、やる合図を決める
「毎日21時から」と時間で決めると、その時間に別の予定が入った日に崩れます。
代わりに使えるのが、行動を合図にする方法です。
「夕食の食器を片づけたら」「入浴を終えたら」「子どもが寝たら」といった形になります。
時刻は日によって動きますが、行動の順番は動きにくいためです。
合図に選ぶときの条件は2つあります。
毎日必ず起きることと、その直後に時間が空くこと。
「帰宅したら」は、帰宅時刻が動く方には向きません。「入浴後」のほうが安定します。
先に決めておくと、その日の予定に左右されにくくなります。
できた日の記録より、できなかった日の理由
記録というと、できた日を数えるものだと考えがちです。
ただ、改善に効くのは、できなかった日の理由のほうです。
一行で構いません。「帰宅が遅かった」「疲れていた」「予定が入った」
1か月分たまると、止まる原因に傾向が見えてきます。
その傾向に対して手を打てば、次の月は続きやすくなります。
原因を分けて考えます。止まる理由は毎回違うようで、実は数種類しかありません。
仕組み化のポイント
ここからは設計の話です。原因を分けて考えると、直す場所は3つに絞れます。
1. 最低ラインを「これ以下はない」水準まで下げる
毎日必ずできる量まで下げます。目安は、忙しい日でも確実にできる量です。
- 「毎日2時間書く」→「毎日1行書く」
- 「毎日30分学ぶ」→「毎日ファイルを開く」
これでは進まないと感じるかもしれませんが、目的は進めることではなく、止まらないことです。1行書くつもりで座ると、実際には30分書ける日も出てきます。
2. 入り口の判断を減らしておく
開始の合図を固定することと、次の1手を前日に決めておくこと。この2つは習慣化の土台になります。
どちらも集中が続かない人のための作業環境の整え方で手順まで扱っているので、ここでは繰り返しません。
作業時間そのものをどこに置くかは副業と本業を両立する人のスケジュールの組み方を先に見ておくと、この後の話が入りやすくなります。
3. 「できた」の判定を甘くしておく
ここが習慣化に固有の部分です。
最低ラインを下げたのに、心のなかで「今日はほとんど進んでいない」と採点していると、下げた意味がなくなります。
1行書いたら「できた」に入れる。ファイルを開いたら「できた」に入れる。この判定を先に決めておかないと、記録は続いても気持ちのほうが折れます。
採点を厳しくする癖がある人ほど、判定基準を紙に書いておく方法が向いています。
戻る手順を、具体的に書いておく
戻る手順を先に書いておく、と書きました。
抽象的だと使えないので、私が使っている形をお見せします。
- 1日空いた……何もしない。翌日、通常どおり再開する
- 3日空いた……最低ラインだけを3日続ける。量は戻さない
- 1週間以上空いた……原因を1つ書き出してから、最低ラインで再開する
- 1か月以上空いた……設計そのものを組み直す。前と同じ形に戻さない
空いた日数によって、やることを変えているのがポイントです。
1日空いただけで設計を見直すのは過剰ですし、1か月空いたのに同じ形で戻すのは無理があります。
先に決めておくと、止まったときに判断を迫られずに済みます。
挫折を設計に組み込む
ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。
止まることは想定内にしておく
体調を崩す、本業が繁忙期に入る、家庭の予定が入る。止まる理由は必ず発生します。
止まらないようにするのではなく、止まった後に戻れるようにする。習慣化で設計すべきなのはこちらです。
戻る手順を先に書いておく
調子のいいときに、止まったときの手順を紙に書いておきます。書く内容は3つです。
- 再開する日……「止まったら、次の◯曜日に戻る」と決めておく
- 再開時にやること……最低ラインの作業を1つだけ指定しておく
- やらないこと……止まっていた日数を取り返そうとしない
止まっている最中は判断力が落ちています。そのときに考えないで済む形へ、先に決めておくのが要点になります。
戻る負荷は日数とともに上がる
厳密な根拠のある数字ではありませんが、間隔が空くほど再開の負荷が上がるのは実感しやすい部分です。
ひとつの目安として、止まったら3日以内に最低ラインだけ実行するという線の引き方があります。進める必要はなく、ファイルを開くだけで構いません。
最低ラインの決め方
最低ラインを下げる、と言われても、どこまで下げるか迷うところだと思います。
私が使っている基準は、体調が悪い日でもできるかです。
「30分作業する」は、疲れている日にはできません。
「ファイルを開く」なら、たいていの日にできます。
低すぎると感じるかもしれませんが、それでいいのです。
目的は成果を出すことではなく、途切れさせないことにあります。
設定するときのコツは、行動で書くことです。
「集中する」「頑張る」は判定できません。「開く」「1行書く」なら、できたかどうかが明確です。
先に決めておくと、迷わずに済みます。
そして、最低ラインで終えた日を失敗にしないでください。それが続いている証拠になります。
挫折後の戻し方
実際に止まってしまった場合の手順です。
ステップ1:原因を1つだけ特定する
戻る前に、なぜ止まったのかを1行で書きます。
- 忙しかった → 最低ラインが高すぎた可能性
- 何をやるか分からなくなった → 次の1手を決めていなかった
- やる意味を感じなくなった → 目的と作業がつながっていない
原因によって、直す場所が変わります。
ステップ2:最低ラインを下げて再開する
元の量に戻そうとすると、また同じところで止まります。
再開時は、止まる前の半分以下から始めるほうが定着します。量を戻すのは、2週間続いてからで構いません。
ステップ3:取り返そうとしない
止まっていた分を挽回しようとすると、負荷が上がって再び止まります。
過去の分は数えず、今日から数え直す。やらない日があっても総量は積み上がる、という見方に切り替えると続きます。
ステップ4:週単位で見る
日単位で数えると、1日の欠けが目立ちます。
週単位に変えると、週5日でも週3日でも「その週は動いた」と数えられます。管理の単位を変える考え方は副業と本業を両立する人のスケジュールの組み方で詳しく扱っています。
環境が変わったときの立て直し
異動、引っ越し、家族の状況の変化。生活が変わると、それまでの習慣は一度崩れます。
ここで多いのが、以前と同じ形に戻そうとして失敗するパターンです。
時間帯も、使える時間の長さも変わっているのに、前の設計を当てはめようとすると無理が出ます。
環境が変わったら、習慣も組み直してください。
組み直すときにやることは3つです。
新しい生活の中で、確実に空く時間を探す。その時間に入る大きさまで作業を割る。最低ラインを設定し直す。
原因を分けて考えます。続かなくなったのは意志の問題ではなく、設計が現状と合わなくなっただけです。
1〜2週間は記録だけ取って、どこが空くかを観察する期間にしてもいいと思います。
続いている人がやっていること
最後に、長く続けている方に共通して見られる点を挙げます。
止まった経験を何度もしている
続いている人が一度も止まっていないわけではありません。何度も止まって、そのたびに戻ってきています。
違いは、止まった回数ではなく戻った回数のほうにあります。
記録を残している
やった日に印をつけるだけの簡単なもので構いません。
止まった後に見返したとき、これまで積み上げた分が見えると、戻る心理的な負荷が下がります。
他人の量と比べていない
使える時間も生活の制約も人によって違います。
比べる相手は先月の自分だけにしてください。他人の進度と比べると、自分の設計が悪いのか量が違うだけなのかが分からなくなります。
記録の付け方と、見返し方
続いている人は記録を残している、と書きました。
ただ、記録の形が細かすぎると、記録すること自体が続きません。
私がすすめているのは、カレンダーに印をつけるだけの形です。
できた日に印、最低ラインで終えた日にも印。区別しません。
区別しないのが大事で、区別すると最低ラインの日が失敗に見えてしまいます。
見返すのは月に一度で足ります。
見るのは連続日数ではなく、その月に印がついた日数です。
先月より増えていれば、前に進んでいます。連続が途切れたかどうかは、この見方では問題になりません。
続けること自体を目的にしない
最後に、ひとつだけお伝えしておきたいことがあります。
習慣を続けるのは手段であって、目的ではありません。
その作業が、いまの自分に必要かどうかは定期的に見直してください。
必要でなくなったものを、続いているという理由だけで抱え続ける必要はありません。
やめる判断も、設計の一部だと考えています。
最初の1か月をどう設計するか
始めたばかりの時期は、まだ形が定まっていません。
この1か月は、量を増やすことより、止まったときに戻れるかを確かめる期間にしてください。
あえて1日休んでみて、翌日に戻れるかを試すのも有効です。
戻れることが分かっていれば、その後の不安が減ります。
最低ラインを1つ決めて、今日から始めてみてください。
続かなかったときの戻し方も、あわせて書いておくと安心できます。
この2つがあれば、途中で止まっても再開できます。
誰かに宣言するかどうか
周囲に宣言すると続く、という話をよく聞きます。
ただ、私が見てきた範囲では、人によって効き方が違います。
宣言が負担になる方は、記録だけを残す形のほうが続いていました。
合わない方法を無理に取り入れる必要はありません。
まとめ:止まらない設計ではなく、戻れる設計にする
設計の全体像を、1つにまとめます。
最低ラインを確実にできる水準まで下げ、開始の合図を固定し、次の1手を前日に決めておく。そのうえで、止まったときの再開日と再開時の作業を先に書いておく。
これが設計の全体です。
連続記録は途切れた瞬間に価値を失いますが、戻る手順は何度でも使えます。
紙に「止まったら、次の日曜に◯◯を1つだけやって戻る」と書いて、机に貼っておく。
止まる前に書いておくこと。それがこの仕組みの唯一の条件です。
調子がいまいいなら、今日のうちに書けます。
