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報酬を払ってもらえないときに取れる現実的な手段

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若手Webマーケター/SNSグロースプランナーの早瀬優人です。

納品したのに支払期日を過ぎても振り込まれない。この状況は、金額の大きさとは関係なく精神的にきついものです。

僕も一度だけ経験がありますが、そのときいちばん困ったのは金額よりも「次に何をすればいいか分からない」ことでした。実際のところ、取れる手段は段階に分かれていて、順番に進めれば迷わずに済みます。

この記事では、報酬が支払われないときの対応を、軽い手段から順に整理していきます。

未払いが起きる典型パターン

対応を決めるうえで、相手がどの状態かを見分けるところから始めます。

3つのパターン

実務上、未払いは次のどれかに当てはまることがほとんどです。

  • 事務的な遅延……請求書が経理に回っていない、担当者が処理を忘れている
  • 資金繰りの問題……支払う意思はあるが、支払えない状態にある
  • 意図的な不払い……納品物に難癖をつける、連絡を絶つ

最初のパターンが最も多く、これは一報を入れれば解決します。

ここでつまずく人が多いのですが、いきなり強い手段を取ると、単なる事務ミスだった相手との関係まで壊れます。順番として、軽い手段から進めてください。

まず契約と期日を確認する

連絡する前に、支払期日がいつだったかを契約書と請求書で確認します。

フリーランス法では、従業員を使用している発注者について、成果物を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定めることが義務づけられています。

契約書に「支払いは検収完了の翌々月末」などと書かれていても、受領日から60日を超える部分は法律の側で制限がかかります。契約条件の見方は業務委託契約書で必ず確認する5項目を参照してください。

先に、いつまで請求できるかを知っておく

ここは急かすためではなく、逆に落ち着くために書いておきます。

報酬を請求する権利は、いつまでも残るわけではありません。民法では、権利を行使できることを知った時から原則5年で時効によって消滅します。

ただし「明日で切れる」という話ではないので、数日単位で焦る必要はありません。年単位で放置しないこと、それだけ意識しておけば十分です。

逆に、何年も前の未払いが手元に残っている場合は、時効が問題になる可能性があるため、早めに相談先へ持ち込んでください。

段階1:記録が残る手段で催促する

最初にやるのは、事務的な確認の連絡です。

電話ではなくメールで

電話で済ませたくなる場面ですが、ここは文字で送ってください。

後の段階に進んだとき、いつ・何を伝えたかの記録がそのまま証拠になります。

書く内容は4つだけ

感情を書かず、事実だけを並べます。

  • 案件名と納品日
  • 請求書の発行日と請求金額
  • 契約上の支払期日
  • 入金が確認できていない旨と、確認のお願い

この段階では、相手を責める表現は入れません。事務ミスだった場合に、そのまま取引を続けられる形にしておきます。

返事がないときの間隔

1週間ほど待って返事がなければ、2回目を送ります。

2回目には「◯月◯日までにご入金いただけない場合は、別の手続きを検討します」と期限を入れてください。ここで初めて、次があることを伝えます。

段階2:内容証明郵便を送る

連絡しても動かない場合、次の手段に進みます。

内容証明で変わること

内容証明郵便は、いつ・誰が・どんな内容の文書を送ったかを郵便局が証明してくれる仕組みです。

文書そのものに支払いを強制する力はありません。ただ、相手にとっては「記録に残る形で請求された」という事実が残るため、対応が変わることがあります。

配達証明を付けておくと、相手が受け取った日付も残ります。

書き方と注意点

形式は日本郵便の規定に沿う必要がありますが、内容は段階1のメールとほぼ同じで構いません。

そこに支払期限と、期限までに支払われない場合に法的手続きを検討する旨を加えます。

ここでつまずく人が多いのですが、脅すような表現を入れると逆に自分の立場が悪くなります。事実と期限だけを書いてください。

段階3:フリーランス・トラブル110番に相談する

ここまでで解決しない場合、無料で使える相談窓口があります。

弁護士に無料で相談できる

フリーランス・トラブル110番は、厚生労働省の委託事業として運営されている相談窓口です。

弁護士に無料で相談でき、匿名でも利用できます。窓口はフリーランス・トラブル110番から確認してください。

法的手続きに進むかどうかを判断する前に、一度ここで状況を説明しておくと、次の一手が具体的になります。

公的機関への相談も選べる

取引条件の明示がなかった、一方的に報酬を減額されたといった場合は、フリーランス法や取適法の禁止行為に触れている可能性があります。

制度と申告先の情報は、公正取引委員会のフリーランス法特設ページで確認できます。

相談したことが相手に伝わることを心配する人は多いのですが、相談段階で自分の名前が出るかどうかは、窓口に確認したうえで判断してください。

段階4:支払督促と少額訴訟

最後の手段として、裁判所を使う方法があります。

支払督促

簡易裁判所を通じて、相手に支払いを督促してもらう手続きです。

書類審査だけで進み、相手が異議を申し立てなければ強制執行の準備に進めます。ただし異議が出た場合は通常の訴訟に移行します。

少額訴訟の条件

金額が小さい場合は、少額訴訟という手続きが使えます。条件がはっきりしているので、そのまま挙げます。

  • 対象は60万円以下の金銭の支払いを求める訴え
  • 同じ簡易裁判所で1人につき年間10回まで
  • 原則として1回の審理で結審する
  • 判決への不服申立ては異議の申立てに限られ、控訴はできない

手続きの詳細は裁判所の少額訴訟のページで確認できます。

判決が出ても、回収できるとは限らない

ここは正直に書いておきます。

判決や支払督促は「支払え」という結論を出すものであって、相手の口座からお金が動くことを保証するものではありません。

相手に資産がなければ、強制執行をしても回収できないことがあります。

かかる費用の目安

判断材料として、費用の考え方も書いておきます。

  • 申立て時の手数料……請求する金額に応じて決まり、収入印紙で納めます。支払督促は通常の訴訟の半額です
  • 郵便料……裁判所から相手方へ書類を送るための費用を、あらかじめ納めます
  • 内容証明の費用……郵便局で、通常の郵送料に加算されます

金額は請求額や裁判所によって変わるため、実際の額は申立て先の簡易裁判所に確認してください。

手続きにかかる時間と費用を、請求している金額と並べたうえで、進めるかどうかを判断してください。

予防のためにできること

ここまでの手段はどれも負担が大きいので、起きないようにする側に力を使ったほうが効率的です。

着手前に条件を文字にする

金額・納期・支払期日・支払方法を、着手前にメールかチャットで確定させます。

契約書がない小規模な案件ほど、ここを飛ばして始めてしまいがちです。

金額が大きい案件は分割する

長期・高額の案件は、着手金と中間金を設定して、一度に失う金額を小さくします。

「着手時30%・中間時30%・納品時40%」のような分け方が現実的です。条件の伝え方は見積もりの出し方と、値下げ交渉への答え方で整理しています。

支払いが遅れた相手とは条件を変える

一度遅れた相手が次も遅れることは、実際によくあります。

取引をやめるかどうかは状況次第ですが、次からは前払いにする、金額を下げるといった形で、抱えるリスクの大きさを調整してください。

まとめ:段階を踏めば、次の一手で迷わない

報酬が支払われないときに取れる手段を整理してきました。

記録が残る形での催促、内容証明、フリーランス・トラブル110番への相談、支払督促や少額訴訟。この順に進めるのが基本形です。

どの段階でも共通して効いてくるのは、契約条件とやり取りの記録です。記録がない状態では、どの手段も進めにくくなります。

いま進めている案件の支払期日が、文字として残っているかどうか。そこを見直すのが、いちばん軽くて効く予防策です。

監修:結城 涼太(コンテンツディレクター)
本記事は未払い報酬への対応に関する一般的な情報提供を目的としたもので、報酬の回収や手続きの結果を保証するものではありません。法令・手続きの内容は変更される場合があります。個別の事案への対応は、フリーランス・トラブル110番や弁護士など、専門の窓口にご相談ください。
この記事を書いた人
早瀬 優人(若手Webマーケター/SNSグロースプランナー)
副業・SNS運用・フリーランスが専門。SNS改善300件以上、フォロワー1万→6万超の実績を持つ実践派。自身も独立後に確定申告と向き合ってきた経験から、副業・フリーランス目線の実務情報を発信している。