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国民健康保険と任意継続はどちらが得か

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若手Webマーケター/SNSグロースプランナーの早瀬優人です。

会社を辞めて独立するとき、健康保険をどうするかで手が止まる人は多いと思います。

この判断でいちばん大事なのは、正解を知ることではありません。間に合ううちに自分の金額を出すことです。

僕は退職の前月になって初めて調べ始め、期限の短さを知って慌てました。

この記事では、国民健康保険と任意継続の違いを整理したうえで、どう比べれば判断できるのかを順に見ていきます。

先に結論:どちらが得かは一律に決まらない

この手の記事では最初に答えを出したくなりますが、ここは正直に書きます。

人によって逆になる

「フリーランスは国保のほうが安い」「最初の1年は任意継続が有利」といった一般論は、条件が変われば簡単に逆転します。

金額を左右するのは、次の4つです。

  • 退職時の標準報酬月額(=おおまかに言えば退職前の給与水準)
  • 前年の所得
  • 扶養している家族の人数
  • 住んでいる自治体の国民健康保険料の算定方式と料率

特に4つ目が効きます。国民健康保険料は自治体ごとに計算方法が異なるため、同じ収入でも住む場所で金額が変わります。

だから、比べる手順を知るほうが早い

ここでつまずく人が多いのですが、ネットで一般論を探し続けても自分の金額は出てきません。

順番として、2つの制度の仕組みを把握し、自分の場合の金額を出して並べる。この記事はその手順を示すものです。

2つの制度の違い

まず、それぞれが何かを押さえます。

国民健康保険

市区町村(または国民健康保険組合)が運営する制度で、会社の健康保険に入っていない人が加入します。

保険料は前年の所得をもとに計算され、世帯単位で決まります。扶養という考え方がなく、家族の人数が増えるとその分が保険料に反映されます。

任意継続

退職前に入っていた会社の健康保険に、退職後も引き続き加入する制度です。

要件と期限がはっきりしているので、そのまま挙げます。

  • 資格喪失日の前日までに、継続して2か月以上の被保険者期間があること
  • 申請は退職日の翌日から20日以内
  • 加入できる期間は最長2年

保険料はそれまで会社が半分負担していた分もすべて自己負担になるため、単純な金額としては在職中の倍近くになります。

ただし協会けんぽの場合は、保険料の計算に使う標準報酬月額に上限が設けられているため、給与水準が高かった人ほどその効果が出ます。

勤務先が独自の健康保険組合だった場合は、規約によって上限を設けず実際の標準報酬月額で計算されることがあります。組合健保だった人は、この点を必ず加入先に確認してください。

「2年間は抜けられない」は古い

ネット上にはまだ残っている記述なので、ここは明確にしておきます。

2022年1月から、任意継続被保険者は本人の申し出によって資格を喪失できるようになりました。いわゆる2年縛りは廃止されています。

前年の所得が下がって国保のほうが安くなった時点で切り替える、という動き方ができるということです。

比べる前に確認しておく前提

試算を依頼する前に、手元にそろえておきたい情報があります。

そろえておくと、窓口でのやり取りが1回で済みます。

  • 前年の所得が分かるもの……源泉徴収票、確定申告書の控えなど
  • 退職予定日……保険料の計算期間に関わります
  • 扶養している家族の人数と年齢
  • 退職の理由……会社都合か自己都合かで扱いが変わる場合があります

4つ目は、聞かれるまで意識しない方が多い項目です。

倒産や解雇による離職の場合、国民健康保険料の軽減が受けられることがあります。

該当するかどうかは自治体の窓口で確認してください。

比べるときの実務手順

ここがこの記事の中心です。手順は3つです。

手順1:在職中に、自治体の国保料を試算してもらう

最も重要なのがこれです。

国民健康保険料は自治体の窓口で試算してもらえます。前年の所得が分かる資料(源泉徴収票など)を持っていけば、おおよその金額を出してもらえます。

任意継続の申請期限は退職日の翌日から20日以内と短いので、この試算は在職中に済ませておいてください。退職してから動き始めると、比べる時間がありません。

手順2:任意継続の保険料を確認する

加入していた健康保険の窓口(協会けんぽ、または会社の健康保険組合)に問い合わせると、任意継続した場合の保険料を教えてもらえます。

協会けんぽの場合、任意継続の手続きや保険料の考え方は健康保険任意継続制度についてのよくあるご質問で確認できます。

手順3:2年分で並べる

1年目だけでなく、2年目まで含めて比べます。

任意継続の保険料は原則として加入期間中は変わりませんが、国民健康保険料は前年の所得に連動して毎年変わります。

独立1年目の所得が会社員時代より下がる見込みなら、2年目の国保料は大きく下がる可能性があります。1年目の金額だけで決めると、判断を誤ることがあります。

保険料の支払い方の違い

金額を比べるときに、支払いの方法も見ておいてください。

任意継続は、納付が遅れると資格を失う扱いになることがあります。

国民健康保険は、分割の回数や納付方法を自治体で選べる場合があります。

まとまった額を一度に払えるかどうかは、退職直後の資金繰りに影響します。

口座振替にできるか、前納で割引があるかも確認しておくと判断材料が増えます。

支払いが難しい場合の相談窓口も、あらかじめ知っておくと安心できます。

金額以外に見る点

保険料だけで決められない部分もあるので、あわせて確認してください。

扶養している家族がいるか

任意継続では、要件を満たす家族を被扶養者として保険料の追加負担なく加入させられます。

一方、国民健康保険には扶養の仕組みがなく、加入する家族の人数分が保険料に反映されます。

家族が多いほど、任意継続が有利になりやすい構造です。ここは金額の差が大きく出るところなので、必ず人数を含めて試算してください。

付加給付があるか

勤めていた会社が独自の健康保険組合を持っていた場合、法定の給付に上乗せされる付加給付が用意されていることがあります。

この場合、任意継続を続けるとその給付も引き続き受けられることがあるため、金額だけでは測れない差になります。

倒産・解雇で辞めた場合は、国保料が軽減される

これは結論をひっくり返すほど大きい要素なのに、意外と知られていません。

倒産や解雇などによる離職(非自発的失業)に該当する場合、国民健康保険料の計算で、前年の給与所得を実際より低くみなして算定する軽減措置が設けられています。

自己都合の退職ではなく会社側の事情で辞めた場合は、この軽減があるかどうかで国保の金額が大きく変わります。

該当するかどうかは離職理由のコードで判定されるため、試算を依頼するときに離職票を持参して窓口で確認してください。

第4の選択肢:国民健康保険組合

市区町村の国民健康保険とは別に、同じ業種の人が集まって運営する国民健康保険組合があります。

ライターやデザイナーであれば文芸美術国民健康保険組合、といった形で、業種ごとに組合が存在します。

特徴は、保険料が所得にかかわらず定額であることが多い点です。収入が伸びてきた段階では、市区町村の国保より負担が軽くなる場合があります。

ただし加入には、その業種の団体に所属しているなどの要件があります。自分の職種に該当する組合があるかどうかを調べてみてください。

第5の選択肢:家族の扶養に入る

ここまで見てきたとおり、選択肢は2つではありません。

配偶者や親が会社の健康保険に入っていて、自分の収入が要件の範囲に収まるなら、その被扶養者になるという方法があります。

この場合、自分の保険料の負担はありません。ただし収入の要件があり、事業が軌道に乗ると外れることになるので、当面の見通しとあわせて考えてください。

年の途中で状況が変わった場合

いったんどちらかを選んでも、途中で状況が変わることがあります。

収入が大きく減った、家族構成が変わった、再就職が決まった、といった場合です。

このとき確認したいのは、切り替えができるかどうかと、その時期になります。

国民健康保険の保険料は前年の所得をもとに決まるため、収入が下がった年は、翌年度から負担が軽くなります。

つまり、1年目は任意継続のほうが安くても、2年目で逆転することがあります。

だからこそ、比べるときに2年分で並べる意味があります。

再就職が決まった場合は、その時点で勤務先の健康保険に切り替わります。

手続きの遅れがあると、保険証が使えない期間が生じることがあるので、決まった時点で早めに動いてください。

個別の保険料額は自治体や健保組合によって違いますので、必ず窓口で確認してください。

手続きの流れ

最後に、実際に動くときの順番を整理しておきます。

退職前にやること

  • 自治体の窓口で国民健康保険料を試算してもらう
  • 加入中の健康保険の窓口で、任意継続した場合の保険料を確認する
  • 扶養に入る選択肢があるなら、その要件も確認する

退職後にやること

任意継続を選ぶ場合は、退職日の翌日から20日以内に申請します。この期限を過ぎると選べなくなります。

国民健康保険を選ぶ場合は、退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口で加入手続きを行います。

どちらの制度でも、高額療養費のように医療費の自己負担に上限を設ける仕組みは使えます。ただし上限額は2026年8月以降に見直しが予定されているため、実際の金額は厚生労働省の高額療養費制度を利用される皆さまへで確認してください。

迷ったときの相談先

自分で試算しても判断がつかない場合、相談できる窓口があります。

国民健康保険については、お住まいの自治体の窓口が確実です。

任意継続は、加入していた健康保険組合か協会けんぽになります。

両方に同じ条件を伝えて、それぞれの金額を出してもらうのがいちばん早い方法です。

電話でも対応してもらえることが多いので、退職前に確認しておいてください。

手続きには期限があるため、退職後に調べ始めると間に合わないことがあります。

金額の差が小さい場合は、手続きの手間や付加給付で決めても構いません。

どちらを選んでも大きく損をすることは少ない、というのが実際のところです。

大事なのは、比べずに何となく決めてしまわないことです。

手続きの期限に注意する

どちらを選ぶにしても、手続きには期限があります。

任意継続は退職日の翌日から一定期間内、国民健康保険も加入の届出に期限が定められています。

期限を過ぎると、選べたはずの選択肢がなくなることがあります。

退職日が決まった時点で、両方の期限を確認してカレンダーに入れておいてください。

具体的な日数は制度や自治体で異なるため、窓口で確認するのが確実です。

まとめ:一般論ではなく、自分の2つの金額を並べる

国民健康保険と任意継続の比べ方を整理してきました。

どちらが得かは標準報酬月額・前年所得・扶養家族の人数・自治体の料率で変わるため、一律には決まりません。手順は、在職中に自治体で国保料を試算してもらい、任意継続の保険料と2年分で並べることです。

選択肢は2つではなく、家族の扶養や国民健康保険組合も含めて比べてください。

任意継続の申請期限は退職日の翌日から20日以内。この短さが、判断そのものより大きな落とし穴になります。

退職予定日が決まっているなら、試算を終える日をカレンダーに先に入れてしまってください。期限に追われないための、いちばん確実な準備です。

保障そのものの差はフリーランスが加入できる保険と、会社員との保障の差にまとめています。