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フリーランスが加入できる保険と、会社員との保障の差

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若手Webマーケター/SNSグロースプランナーの早瀬優人です。

独立してしばらくすると、「体調を崩したら収入が止まる」という当たり前のことが急に重く感じられる時期が来ます。

僕も独立した年の冬に高熱で1週間動けなくなって、そのとき初めて会社員のときにあった仕組みが手元にないことを実感しました。実際のところ、必要なのは保険に入ることより先に、何がなくなって何が残っているかを把握することです。

この記事では、フリーランスと会社員の公的な保障の差を整理し、民間の保険を検討する前に確認したい制度を順に見ていきます。

加入している保険を一度並べてみる

足りない部分を数える前に、いま入っているものを確認してください。

会社員時代に入った保険をそのままにしている方は少なくありません。

並べるときに書き出す項目は4つです。

  • 保険の種類と保障の内容
  • 保険料と支払いの期間
  • いつ加入したか
  • 会社経由で入っていたものかどうか

4つ目が重要で、勤務先を通じて加入していたものは、退職で終了している場合があります。

終了していることに気づかないまま「入っているつもり」でいると、必要なときに使えません。

証券や加入者証を確認して、いまも有効かどうかを確かめておいてください。

会社員との保障の違い

まず、独立したときに何が変わるのかを一覧で押さえます。

なくなるもの

会社員のときにあって、フリーランスになると原則としてなくなるのは次の4つです。

  • 傷病手当金……病気やけがで働けない期間の所得を補う給付。健康保険の給付であり、国民健康保険には原則としてない
  • 出産手当金……産前産後の休業期間の所得を補う給付。これも健康保険の給付で、国民健康保険には原則としてない
  • 雇用保険……失業したときの給付。フリーランスは加入対象ではない
  • 労災保険(原則)……仕事中のけがへの給付。ただし後述する特別加入の制度がある

ここで見分けの軸になるのは、「働けない期間の収入を補う給付」がまとめて外れるという点です。医療費そのものへの補助は残り、休んでいる間の所得補償がなくなります。

このうち最も影響が大きいのは傷病手当金です。働けない期間の収入をどう埋めるかが、フリーランス固有の課題になります。

傷病手当金の制度そのものは協会けんぽの病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)で確認できます。

残るもの

一方で、独立しても使える制度は思っているより多く残ります。

  • 高額療養費……ひと月の医療費の自己負担に上限が設けられる仕組み。国民健康保険にもある
  • 出産育児一時金……出産時に支給される。国民健康保険からも支給される
  • 障害年金……病気やけがで生活や仕事に制限が出たときの年金
  • 遺族年金……亡くなったときに遺族へ支給される年金

ここでつまずく人が多いのですが、「フリーランスには保障が何もない」というのは正しくありません。なくなるのは会社員だけの上乗せ部分で、土台にあたる部分は残っています。

ただし、障害年金と遺族年金は「1階だけ」になる

残るとはいえ、会社員と同じ水準ではありません。ここは正確に押さえてください。

会社員は国民年金(1階)に加えて厚生年金(2階)にも加入しているため、障害年金・遺族年金も2階建てで受け取れます。

  • 障害年金……フリーランスが受け取れる障害基礎年金は1級・2級のみ。会社員はこれに障害厚生年金が上乗せされ、さらに3級と障害手当金という枠もある
  • 遺族年金……フリーランスの遺族基礎年金は、原則として子のある配偶者か子が対象。会社員には遺族厚生年金があり、対象の範囲も広い

つまり差は「あるかないか」ではなく、対象になる範囲と金額の厚みです。特に、障害が3級相当のときに受け取れるものがない点は大きな違いになります。

高額療養費は2026年8月から見直しが予定されている

この制度は、いま変わる途中にあります。

ひと月の自己負担限度額の見直しと年間上限の新設が2026年8月から、所得区分の細分化が2027年8月から実施される予定です(2026年7月時点の予定)。過去に実施が見送られた経緯もある項目なので、必ず最新の案内で確認してください。

長期に治療を受けている人に配慮して、直近12か月で一定回数を超えた場合の「多数回該当」の金額は据え置かれることになっています。

金額は所得区分によって異なり、今後変わる部分でもあるため、実際の上限額は厚生労働省の高額療養費制度を利用される皆さまへと、ご自身が加入している市区町村・組合の案内で確認してください。

制度を使うときの手続きの重さ

公的な制度は費用面で有利なことが多い一方、手続きに時間がかかるものもあります。

始める前に確認しておきたいのは3点です。

ひとつめは、加入できる条件を満たしているか。業種や事業の形態で制限がある制度があります。

ふたつめは、申し込みから開始までの期間。すぐに保障が始まらない場合があります。

3つめは、やめるときの扱いです。

掛金が戻る制度と戻らない制度があり、加入期間によっても変わります。

とくに3つめは、始めるときには意識しにくい部分です。

事業の状況が変わって続けられなくなったときにどうなるかを、先に確認しておいてください。

各制度の詳細は運営している機関の案内で確認できます。

民間保険の前に確認したい公的制度

順番として、民間の保険を検討するより先に、加入できる公的な制度を確認したほうが効率的です。

労災保険の特別加入

労災保険は原則として雇われて働く人のための制度ですが、フリーランスも特別加入という形で入れる場合があります。

2024年11月1日から対象が拡大され、業種を問わず、業務委託を受けて働くフリーランスが加入できるようになりました。それまでは25業種に限られていた制度です。

加入は特別加入団体を通じて行い、保険料は自分で負担します。仕事中のけがのリスクがある働き方をしているなら、優先して検討する価値があります。

小規模企業共済

もうひとつ、意外と知られていないのが小規模企業共済です。

これは中小機構が運営する、個人事業主などが廃業や退職に備えて積み立てる制度で、掛金は月1,000円から7万円の範囲で選べます。

積み立てたお金は、事業をやめたときなどに共済金として受け取れます。制度の内容は中小機構の小規模企業共済で確認できます。

民間の保険ではありませんが、働けなくなったときや事業を畳むときの備えという意味では、同じ役割の一部を担います。

国民年金の上乗せ制度

老後の備えについても、公的な選択肢が用意されています。

付加年金、国民年金基金、iDeCoといった制度があり、それぞれ併用の可否や上限が異なります。整理はフリーランスの国民年金だけで老後は足りるのかにまとめました。

働けなくなったときに何が起きるか

保障の差を考えるとき、いちばん影響が大きいのが働けなくなった場合です。

会社員であれば、病気やけがで休んだときに受けられる公的な給付があります。

フリーランスの場合、この部分が基本的にありません。

ですから、確認しておきたいのは次の3点になります。

  • 収入が止まってから、生活費が何か月分あるか……手元の現金で計算します
  • その間、固定費はいくら出ていくか……家賃、通信費、保険料、税や社会保険料
  • 取引先との契約はどうなるか……納品できない場合の扱いを契約で確認します

3つ目は見落とされやすい部分です。

長期で動けなくなると、案件そのものを失う可能性があります。

保険で備えるのは、この3つを数えたあとになります。

個別の商品の要否は事情によって変わりますので、判断は専門家に相談してください。

民間保険で補うときの考え方

公的な制度を確認したうえで、それでも足りない部分を民間の保険で補うかどうかを考えます。

先に「いくら足りないか」を出す

商品を比べる前に、自分の場合に何がどれだけ足りないのかを数えます。

具体的には、次の3つを出しておくと判断しやすくなります。

  • 働けなくなった場合、収入が止まってから何か月分の生活費が手元にあるか
  • 固定費(家賃・通信費・保険料など)は月いくらか
  • 高額療養費の上限を踏まえて、医療費として想定しておく金額はいくらか

ここを出さずに商品を比べ始めると、保障を厚くする方向にしか話が進みません。

調べるときのカテゴリ名を知っておく

足りない部分が分かったら、次はどの種類の商品を調べればいいかです。名称を知らないと検索すらできないので、カテゴリ名だけ挙げておきます。

  • 就業不能保険・所得補償保険……働けない期間の収入を補うもの。傷病手当金がない部分に対応する
  • 医療保険……入院や手術にかかる費用に備えるもの。高額療養費でカバーされる範囲との重複に注意する
  • 賠償責任保険(フリーランス向けの業務賠償)……納品物や業務に起因して第三者に損害を与えた場合に備えるもの

いずれも商品ごとに条件が大きく異なります。ここでは種類の名前を挙げているだけで、特定の商品をすすめるものではありません。

貯蓄で足りる部分は保険にしない

短期間の収入減であれば、貯蓄で対応できる範囲かもしれません。

保険が向いているのは、起きる確率は低いものの、起きたときに貯蓄では埋められない規模の損失です。

判断は個別の事情で変わる

必要な保障は、家族構成・収入の安定度・貯蓄額・持病の有無によって大きく変わります。

この記事は制度の全体像を整理するもので、特定の商品や加入の要否をおすすめするものではありません。判断に迷う場合は、複数の会社を扱う窓口や、公的機関の相談先で話を聞いてみてください。

見直すタイミングを決めておく

保障の必要額は、生活の変化で変わります。

結婚、出産、住まいの購入、家族の状況の変化。こうした節目で見直してください。

加えて、事業の収入が大きく変わったときも見直しの機会になります。

収入が増えれば、必要な保障も変わります。

何もなければ、年に1回だけ内容を確認する形で足ります。

公的な制度と民間の商品を、同じ土俵で比べないでください。

先に公的な部分を確認し、そこで埋まらない分だけを民間で補う。この順番が基本になります。

順番が逆になると、重複した保障に費用を払うことになります。

家族がいる場合に見ておく点

ひとりで働いている場合と、扶養している家族がいる場合とでは、必要な備えが変わります。

確認しておきたいのは2点です。

ひとつは、自分が働けなくなったときに世帯の収入がどうなるか。

もうひとつは、家族が加入している保険や公的制度で補える部分があるかどうかです。

世帯全体で重複している保障がないかも、この機会に見ておいてください。

個別の判断は事情によって変わるため、必要に応じて専門家に相談してください。

まとめ:足りない部分を数えてから、商品を見る

フリーランスと会社員の保障の差を整理してきました。

なくなるのは傷病手当金・出産手当金・雇用保険・労災(原則)の4つで、高額療養費・出産育児一時金・障害年金・遺族年金は残ります。ただし障害年金と遺族年金は1階部分だけになるため、範囲と金額に差が出ます。

順番として、公的な制度で何がカバーされるかを確認し、そのうえで足りない金額を数える。商品を比べるのはそのあとです。

加入している健康保険の窓口ページで、傷病手当金にあたる給付があるかどうかを調べてみてください。そこが足りない金額を数える起点になります。

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