100万円という金額は、貯金の目標としてよく挙がります。区切りがよくて、達成したかどうかがはっきり分かるからだと思います。
ただ、この数字だけを見ていると、遠すぎて手がつきません。ご相談でも「いつか貯めたい」で止まってしまっている方が多いです。
真鍋みゆです。家計改善アドバイザーとして、これまで500名以上の家計を拝見してきました。
この記事では、100万円という金額を扱える大きさに割り直して、そこから何をするかを決めるところまでお伝えします。
100万円は「期間」を決めた瞬間に扱えるようになります
最初にやることは、節約でも副業でもありません。期間を決めることです。
年数で割ると、月あたりの金額が出ます
100万円を1年で貯めるのと、3年で貯めるのとでは、月あたりに必要な金額がまったく違います。
ご自身が現実的だと思う年数で割ってみてください。
その金額を、いまの手取りから毎月取り分けられるかどうか。判断はそれだけです。
出せない金額なら、がんばりを増やすのではなく期間のほうを延ばしてください。
期間を延ばすのは、あきらめることではありません
年数を延ばすと、目標を下げたように感じる方がいます。でも、届かない計画を立てて初月でやめてしまうほうが、結果として遠回りです。
3年で達成した方は、1年の計画を3回失敗した方より確実に前に進んでいます。数字は、続けられる大きさに合わせて構いません。
私が家計を拝見していて、実際に貯まっている方に共通しているのは、金額の大きさではありません。
同じ設定を何か月も止めずに続けていることです。設定を止めなければ、時間が味方になります。
「なぜ100万円なのか」を一度考えておく
金額に区切りがいいという理由だけで目標にすると、途中で力が抜けます。
何のために貯めるのかを一度だけ考えてみてください。
引っ越しの費用、車の買い替え、働けなくなったときの備え、資格を取るための学費。用途が決まると、必要な時期も自然に出てきます。
用途が思いつかない場合は、それでも構いません。収入が止まったときに何か月ぶん暮らせるか、という考え方なら金額を出せます。
公的な統計で、いまの位置を確認する
参考として、公的な数字を置いておきます。総務省統計局の家計調査(家計収支編)によると、2025年平均で単身世帯の消費支出は1か月あたり173,042円、二人以上の世帯では314,001円でした。
単身世帯のうち勤労者世帯の実収入は、1か月あたり386,791円です。こちらは平均年齢43.3歳の数字になります。
ただし、これらはあくまで平均です。
年齢も地域も住まいの形もばらばらな世帯を合わせた数字なので、ご自身と比べて落ち込む必要はありません。使うとすれば、費目の抜けを確認するための一覧としてです。
貯まるルートは2つしかありません
期間が決まったら、次はどうやってその金額を作るかです。方法は無数にあるように見えますが、大きく分けると2つです。
①出ていくお金を減らす
いますぐ始められて、効果もすぐ出ます。とくに毎月自動で引き落とされている費目は、一度手続きすれば翌月以降も効き続けます。
ただし、下げられる幅には限りがあります。生活そのものを削ることになるので、どこかで止まります。
②入ってくるお金を増やす
上限がない代わりに、時間がかかります。始めてから収入になるまでの期間も読めません。
それに、増えた分をそのまま使ってしまえば、貯まる額は変わりません。収入を増やす取り組みは、先に取り分ける仕組みとセットでないと結果につながりません。
「余ったら貯める」は成立しません
どちらのルートを選んでも、共通して必要なことが1つあります。入ってきた時点で先に取り分けることです。
使ったあとに残った分を貯める形だと、ほぼ残りません。使えるお金が口座にある状態では、使い道はいくらでも出てくるからです。
給料が入った翌日に、決めた金額が別の口座へ自動で移る設定にしてください。手作業にすると、その月の気分が入ります。
順番は「減らす」が先です
両方やる必要はありませんし、同時に始めると続きません。
先に取りかかるなら、減らすほうです。
今日から手をつけられて、効果が翌月には見えます。小さくても結果が出ると、次に進む力になります。
まず、いまの支出を把握する
どちらのルートを選ぶにしても、現在地が分からないと計画が立ちません。
明細を1か月ぶん開くだけで足ります
銀行口座とクレジットカードの明細を、1か月ぶん開いてください。毎月同じ名前で並んでいるものが、あなたの固定費です。
家計簿をつける必要はありません。
合計金額と、毎月出ていくものの一覧。この2つが分かれば十分です。
手取りから固定費を引く
書き出した固定費の合計を、手取りから引いてください。残った金額が、食費や日用品、交際費などに使える金額になります。
ここで、月あたりの目標額が出せそうかどうかが見えます。厳しければ、固定費のほうを見る番です。
この引き算をすると、思っていたより余裕が小さいことに気づく方が多いです。
それは悪いことではありません。実態が見えたということなので、そこから計画を立て直せます。
変動費は「場面」で分ける
固定費以外の支出は、費目名で分けるより、使う場面で分けたほうが手を打ちやすくなります。
平日の昼食、飲みもの、外食、週末の買い物。分けてみると、思っていた場所と違うところが大きいことがよくあります。
いちばん金額の大きい場面を1つだけ選んで、そこから変えてください。全部を同時に変えようとすると、まず続きません。
年に数回の支出も忘れずに
毎月ではないけれど必ず来る支出があります。更新料、帰省の費用、年払いのサービス、家電の買い替え。
これらを月ごとに割って足しておかないと、その月だけ貯金を崩すことになります。1年に1回でも、計画には入れておいてください。
減らす:手間の軽い順に手をつける
減らす作業は、金額の大きい順ではなく、手続きの軽い順に進めると止まりません。
解約するだけで済むものから
使っていない定額サービスやオプション。これは解約するだけなので、その場で終わります。
次が、契約内容を変えるもの。プランの変更や容量の見直しです。
最後が、契約先を変えるもの。乗り換えや引っ越しになります。
1か月に1件と決めておくと、3か月で3つ片づきます。詳しい進め方は 固定費を抑えて節約をする3つの方法 にまとめています。
住む場所は、いちばん金額が大きい費目です
家賃は動かせる時期が限られますが、動かせたときの効き方はいちばん大きいです。
すぐに引っ越せないなら、次の更新月をカレンダーに入れておいてください。実家に戻れる方や、住まいを分け合える方は、その選択肢も検討してみてください。
ただし、通勤時間が延びる、人間関係の負担が増えるといった代償もあります。金額だけで決めないでください。
下げた分の行き先を、その月のうちに決める
固定費を下げたのに残高が変わらない、というご相談はとても多いです。原因はほとんどの場合、浮いた分をそのままにしていることです。
下げた金額は、放っておくと生活費に混ざって消えます。見直しが済んだ月に、下がった分だけ取り分ける額を上げてください。
ここまでやって、はじめて見直しが100万円に近づく作業になります。
削らないと決める費目も作る
すべてを削る対象にすると、生活が窮屈になって反動が出ます。
健康に関わるもの、仕事の成果に直結するもの、家族との時間を確保しているもの。
この3つは、先に「触らない」と決めておいてください。対象を絞ったほうが、判断が早く進みます。
増やす:始める前に決めておくこと
収入を増やすほうへ進む場合、始める前に整えておくことがあります。
入り口を1つに絞る
いくつも同時に始めると、どれも中途半端になります。まずは1つ選んで、3か月続けてみてください。
選ぶ基準は、稼げる金額の大きさではなく、いまの生活のなかで時間を作れるかどうかです。続かなければ金額もゼロなので、そちらのほうが優先されます。
増えた分の行き先を先に決める
ご相談を受けていていちばん多いのが、収入は増えたのに残高が変わっていないケースです。
原因ははっきりしていて、増えた分の行き先を決めていないからです。入ってきたら生活費に混ざり、生活の水準が少し上がって終わります。
増える前に、その分をどこへ入れるか決めておいてください。設定の作り方は 先取り貯金の口座の分け方と自動化の設定 で扱っています。
いま持っているものを売るという方法もあります
新しく仕事を増やすのが難しい時期もあります。その場合、使っていないものを手放して現金に換えるという方法もあります。
継続的な収入にはなりませんが、置き場所が空くという副産物がついてきます。手放したお金の行き先も、先に決めておいてください。
持ち物の整理の仕方は ミニマムライフを実現するためのコツ にまとめています。
勤務先のルールを確認しておく
勤め先によっては、本業以外の仕事について届け出や許可が必要な場合があります。
就業規則を先に確認しておいてください。あとから問題になると、収入どころではなくなります。
100万円までの進み具合を確認する
最後に、途中で見るところをまとめます。毎月見る必要はなく、3か月に一度で十分です。
- 決めた金額が、毎月きちんと取り分けられているか
- 取り分けたあとの生活費が足りているか(足りずに崩していないか)
- 年に数回の支出を、計画に入れ忘れていないか
- 下げた固定費のぶんが、別の支出に移っていないか
- 手取りが変わったのに、設定をそのままにしていないか
- いまのペースで、決めた期間内に届きそうか
いちばん下の項目で届きそうにない場合は、期間を延ばすか、月あたりの金額を上げるかを選びます。どちらを選んでも構いません。
進み具合を見えるようにしておく方法は 目標や成果を見える化してお金を貯めるコツ にまとめてあります。
誰かに話しておくと続きやすくなります
一人で続けるのが難しいと感じるなら、家族や親しい友人に伝えておくのも一つの方法です。
ただし、金額まで言う必要はありません。
「今年は貯める年にする」くらいで十分です。口に出したことは、自分の中でも扱いが変わります。
ご家族と暮らしている場合は、目標そのものを共有しておくと、支出の判断がぶつかりにくくなります。
崩した月があっても失敗ではありません
急な出費で取り分けたお金を使うことは、想定内です。そのために貯めていたからです。
問題になるのは、崩したあとに設定を止めてしまうことのほうです。使ったなら、また同じ設定で積み直せば済みます。
100万円が貯まったあとのこと
目標に届くと、そこで気が抜けて元に戻ってしまう方がいます。達成する前に、次をどうするか決めておいてください。
働けない期間を支えるお金として置いておくのか、別の用途に回すのか。考え方は 生活防衛資金とは?どのくらい貯めるべきかを解説 で扱っています。
まとめ:金額ではなく、期間から決めてください
100万円が遠く感じるのは、金額が大きいからではありません。いつまでに、という部分が決まっていないからです。
年数を決めて月あたりに割る。出せなければ期間を延ばす。
減らすほうから手をつけて、増やすほうは行き先を決めてから始める。3か月ごとに進み具合を見る。
いつ届くかは、収入も生活も人によって違うのでお約束はできません。ただ、期間を決めた時点で、毎月やることは1つに絞られます。
それから、途中で年数や金額を変えることを、失敗だと思わないでください。
転職や引っ越しで前提が変われば、計画も変わって当然です。変えられる形にしておくことが、続けるための条件でもあります。
まずは、100万円をご自身が現実的だと思う年数で割ってみてください。そこから先は、その金額を出す話だけになります。
