一人暮らしを始めると、気づいたときには外食とお惣菜だけで一週間が終わっている。そんな月がありますよね。
家計改善アドバイザーの真鍋みゆです。私はこれまでに500名以上の家計を見せていただきました。
そのなかで「自炊にすれば食費は下がる」と思って始めた方が、思ったほど下がらずにやめてしまう場面を何度も見てきました。
下がらない理由ははっきりしています。自炊は「安くなる方法」ではなく「金額を自分で決められるようになる方法」だからです。
この記事では、一人暮らしの自炊を続けるための順番をお伝えします。がんばりではなく、判断の回数を減らす形で組み立てていきます。
「自炊にすれば食費が下がる」とは限らない理由
最初に、少し身も蓋もない話をさせてください。
自炊を始めても、食費が下がらない方は本当に多いです。原因は主に2つあります。
買った食材を使い切れていない
1つめは、食材を余らせてしまうことです。
外食は食べた分だけの支払いですが、自炊は先に買ってから食べます。使い切れなければ、その分は捨てることになります。
安いからと大袋を買って、半分だめにしてしまう。これは自炊を始めた最初の1か月にいちばん起きやすい失敗です。
調味料や道具の買い足しが続いている
2つめは、最初の時期に道具や調味料をそろえる支出が重なることです。
この分は毎月かかるものではないので、いずれ落ち着きます。ただ、始めた月の家計簿を見て「自炊のほうが高い」と結論を出してしまう方がいます。
判断するなら、始めて2か月目か3か月目の数字で見てください。
統計の「食料費」には外食も入っています
参考までに、公的な数字も置いておきます。
総務省統計局の家計調査(家計収支編)によると、2025年平均で単身世帯の食料への支出は1か月あたり49,321円でした。同じ調査で、単身世帯の消費支出全体は173,042円です。
ただし、この数字をそのままご自身と比べるのはおすすめしません。理由が2つあります。
1つは、この調査の単身世帯には平均年齢58.6歳という幅があり、20代・30代の一人暮らしだけを取り出した数字ではないこと。
もう1つは、家計調査の「食料」には外食が含まれていることです。つまり自炊に切り替えても、この費目がゼロに近づくわけではありません。
平均より多くても少なくても、それだけで良し悪しは決まりません。比べる相手は平均ではなく、先月のご自身の金額です。
外食そのものが悪いわけではありません
念のため書いておくと、外食を減らすこと自体が目的ではありません。
人と会う食事や、疲れきった日の一食は、家計の数字とは別の価値があります。そこを我慢の対象にすると、反動でまとめて崩れます。
減らす対象にしやすいのは、「気づいたら使っていた」ほうの外食です。
時間がなくて仕方なく入った店、コンビニでなんとなく足したもの。ここは、準備さえあれば置き換えがききます。
買い物に行く前に決めておく3つのこと
ここからが本題です。私が家計を拝見していて、自炊が続いている方に共通しているのは、料理の腕ではありませんでした。
店に入る前に、決めごとが終わっていることです。
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1週間で使う金額を決める
月の食費ではなく、1週間ぶんで決めてください。月単位だと、月末まで残高がわからず調整がききません。
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その週に食べるものを3パターンだけ決める
7日分の献立を組む必要はありません。作れるものを3つ決めて、それを回すだけで買う食材が絞れます。
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買うものをメモにして持っていく
スマホのメモで十分です。書き出す作業そのものが、店で迷う回数を減らしてくれます。
この3つが決まっていると、店での判断はほとんど必要なくなります。
自炊が続かない原因は料理ではなく、毎回の買い物で判断させられることのほうにあります。
1週間ぶんを財布から分けておく
金額を決めても、口座やカードから出ていくと使った実感が残りません。
おすすめは、1週間ぶんの食費だけを別の場所に分けておくことです。
現金なら封筒でも小さなポーチでもかまいません。キャッシュレス派の方なら、食費専用に1枚だけ決済手段を決めて、そこからしか払わないようにします。
残りがいくらかを、いちいち計算せずに見られる状態にする。これが「見える化」のいちばん軽いやり方です。
お腹がすいた状態で店に入らない
あわせて、もう1つだけ。空腹のまま買い物に行くと、メモにないものが増えます。
仕事帰りにそのまま寄るのであれば、家にあるもので少し口に入れてから出るか、休日にまとめて買う形にしてしまうほうが安定します。
店で見るのは「100gあたりの値段」で足ります
安く買おうとすると、比べる項目を増やしてしまいがちです。でも、見るところは絞ったほうが続きます。
単価表示だけを見る
肉や魚は、パックの合計金額ではなく100gあたりの単価で比べてください。値札の端に小さく書かれていることが多いです。
合計金額で見ると、量の多いパックが高く見えてしまいます。単価で見れば、量が違っても同じ物差しで比べられます。
「安いから買う」ではなく「使うから買う」
特売は便利ですが、メモにないものを特売だからと買うと、使い切れずに終わります。
私がおすすめしているのは、メモの中の品目について、その日いちばん安い選択肢を選ぶという使い方です。買う品目そのものは、店に入る前に決まっている状態にしておきます。
値引きシールは「その日に食べるもの」だけ
閉店前の値引きは、一人暮らしとは相性のいい仕組みです。少量のパックが残りやすいからです。
ただし、値引き品は日持ちしないから値引かれています。翌日以降に回す前提で買うと、結局そのまま冷蔵庫に残ります。
その日か翌日に食べるものに限る。それだけ決めておけば、失敗しにくくなります。
店を増やさない
複数の店をまわると、そのぶん「ついで買い」の機会が増えます。
交通費や時間も使います。まずは1店舗に決めて、そこの値段の感覚をつかむほうが早いです。
安い店を探すより、同じ店で「いつもの値段」を覚えるほうが、結果的に高い買い物を避けられます。基準がないと、安いかどうかを判断できないからです。
週に一度、まとめて火を使う日をつくる
毎日の自炊がしんどいのは、料理そのものより、片づけと洗い物が毎日ついてくるからですよね。
ごはんは炊いた日に小分けにして冷凍する
炊飯器の保温は、長く続けるほど電気を使い続けます。
炊きあがったらすぐに1食分ずつ小分けにして、冷凍しておくほうが扱いやすいです。食べたい分だけ温められるので、余ったごはんを翌日どうするかで悩まなくなります。
おかずは「作り置き」ではなく「下ごしらえ置き」から
作り置きは、続かない方が多い方法でもあります。同じおかずが3日続くと飽きてしまうからです。
最初は、完成品ではなく途中まででかまいません。
野菜を切って保存袋に入れておく、肉に下味をつけて冷凍しておく。これだけでも平日の手間はかなり減ります。
火を使う日を1日にまとめる
コンロを温めて、鍋を洗って、という工程は1回にまとめたほうが負担が軽くなります。
休日のどこかに1〜2時間だけ確保してみてください。平日は温めるだけ、という形にしておくと、疲れた日でも外食に流れにくくなります。
冷凍庫に空きをつくっておく
この方法が続くかどうかは、冷凍庫にどれだけ余裕があるかで決まります。
入りきらないと、せっかく小分けにしたものを常温や冷蔵に置くことになり、傷ませてしまいます。
まず一度、冷凍庫の中身を全部出してみてください。
いつ入れたかわからないものが出てきたら、そこが空けどころです。保存袋は立てて並べると、何がどれだけあるか一目でわかります。
自炊が止まるのは、だいたいこの4場面です
ご相談を受けていると、自炊が止まるタイミングはかなり似ています。先に知っておくと、そこで踏みとどまれます。
- 残業が続いた週。帰宅時間が読めず、買った食材が傷む
- 体調を崩した週。台所に立てず、そのまま習慣が切れる
- 予定が入った週。作ったものが余り、捨てることになる
- 連休明け。冷蔵庫の中身がわからなくなっている
どれも共通しているのは、先に買ってあることが裏目に出ている点です。
ですので、予定が読めない週は、買う量を減らしてください。
自炊の回数を減らすのは失敗ではありません。その週に外食を挟むことは、食材を捨てるより家計にとって軽い選択です。
「今週は3回だけ作る」と決めてしまえば、残りは最初から外食の予定として扱えます。罪悪感なく続けるための線引きです。
止まってしまった後の戻り方
一度止まると、そのまま何か月も戻れない方が多いです。原因は、冷蔵庫の中身がわからないことにあります。
再開するときは、買い物からではなく、冷蔵庫と冷凍庫を空にするところから始めてください。
残っているものを使い切って、いったん何もない状態を作る。それから、いつもの1週間ぶんを買い直します。
中身がわからない冷蔵庫に食材を足すと、また同じことが起きます。リセットしてから始めるほうが、結局は早いです。
1か月やってみて、続けるかどうかを決める
最後に、判断の仕方をお伝えします。
レシートは金額だけ控えれば十分です
家計簿をつけるのが負担なら、買い物のたびに合計金額だけメモしてください。品目まで書く必要はありません。
週の終わりに合計して、決めた金額の内側だったかどうかを見る。それだけで、次の週の買い方が変わります。
4週ぶん並べると、自分の平均が見えてきます。
この平均こそが、次の月に使うべき目安です。世の中の平均額ではなく、ご自身の実績から決めてください。
下がらなかったときに見るところ
1か月やって食費が下がらなかった場合、原因はたいてい次のどれかです。
買った食材を捨てていないか。
飲みものやお菓子を別に買っていないか。外食を減らしたぶん、他の支出が増えていないか。
ここを見直しても変わらないようなら、食費は今のままにして、先に固定費のほうへ手をつけるという判断もあります。食費は毎日の判断が必要なぶん、いちばん労力のかかる場所だからです。
家賃や通信費のように、一度の手続きで翌月以降も効果が続く費目については 固定費を抑えて節約をする3つの方法 にまとめています。
栄養と外食の扱い
安く済ませることだけを目的にすると、続きません。体調を崩せば、結局そのほうが高くつきます。
食費を削る方向で考えるより、同じ金額で栄養の取りやすいものに置き換える方向のほうが、無理なく続きます。米や卵、豆腐、旬の野菜のように、値段が安定していて使い回せる食材を軸にしておくと、献立を考える負担も減ります。
逆に、飲みものやお菓子は金額が見えにくく、気づかないうちに積み上がる費目です。ここだけは、買う場所を1か所に決めておくと管理しやすくなります。
安くて栄養の取りやすい食材については 節約しながら栄養もしっかり摂れるお助け食材7選 で扱っています。忙しい日にコンビニを使う前提で組み立てたい方は コンビニで使える節約術 もあわせてどうぞ。
まとめ:自炊は「安くする方法」ではなく「金額を決められる方法」です
自炊にすれば自動的に食費が下がる、ということはありません。買い方が変わらなければ、金額もそれほど変わらないからです。
変わるのは、金額を自分で決められるようになることです。
1週間の予算を決めて、買うものを決めて、店ではその範囲で選ぶ。この形にすると、月末の金額がぶれなくなります。
いくら安くなるかは、住んでいる場所や今の食生活によって変わるので、お約束はできません。ただ、金額が読めるようになるだけでも家計はかなり扱いやすくなります。
そして、うまくいかない週があっても、それは失敗ではありません。
予定の入る週や体調の悪い週まで自炊で通そうとすると、かえって食材を捨てることになります。作らない週があってもいい、という前提のほうが長く続きます。
今週の買い物から、1週間ぶんの予算を決めるところだけ試してみてください。それだけで十分な一歩です。
