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事業所得か雑所得かで変わる税額の差

若手Webマーケター/SNSグロースプランナーの早瀬優人です。

副業の確定申告をするとき、「事業所得」と「雑所得」のどちらで申告すればいいのか、実際のところここでつまずく人が多いです。

この2つは、同じ利益でも課税の対象になる金額に差が出てきます。ここが分かれ目です。

この記事では、事業所得と雑所得の判断基準を確認したうえで、区分による税額の差を具体的な数字を追いながら順番に整理します。経費の基本は副業の経費にできるもの・できないものの線引きで解説しています。

事業所得と雑所得、それぞれの意味

事業所得は、継続的・独立的に営まれている事業から生じる所得を指します。

雑所得は、給与所得や事業所得など、他のどの所得区分にも当てはまらない所得の受け皿のような区分です。

副業は、この2つのどちらに区分されるかによって、使える税制上の優遇の範囲が大きく変わってきます。

事業所得と雑所得の判断基準

どちらに区分されるかは、収入の金額だけで機械的に決まるものではありません。順番として、まず判断の枠組みから押さえます。

総合的に判断される考え方

継続性・反復性があるか、営利を目的としているか、自分の責任と判断で行っているか、といった実態を踏まえて総合的に判断されます。

あわせて、日々の取引をきちんと帳簿に記録し、書類を保存しているかどうかも、事業所得として扱われるかの重要な要素とされています。実際のところ、ここが実務では一番効いてきます。

国税庁の通達では、その年の収入金額が300万円以下で、かつ帳簿書類の保存がない場合は、原則として雑所得に該当するという考え方が示されています。

裏を返せば、収入が300万円以下でも、帳簿をつけて保存していれば事業所得として扱われる余地がある、ということです。

ただしこれは形式的な基準ではなく、あくまで実態を踏まえた総合判断の一要素とされています。単発で一度だけ請け負った仕事のような場合は、雑所得として扱われる可能性が高くなります。

所得区分の考え方は、国税庁のNo.1350 事業所得の課税のしくみもあわせて確認してください。

「収入が少ないから雑所得」とは限らない

収入の金額が小さくても、継続的に取り組んでいて記帳もしっかりしていれば、事業所得として認められる可能性があります。

逆に、収入が大きくても、単発的で片手間の性質が強い場合は、雑所得と判断されることもあります。

「いくら稼いだか」よりも「どう取り組んでいるか」が重視される、と理解しておくとイメージしやすいです。

同じ利益額でも、課税対象になる金額はこれだけ変わる

ここでは、副業の年間の利益(収入から経費を引いた金額)が80万円だったケースを例に、区分によって課税対象になる所得がどう変わるかを、3つのパターンで順番に比べてみます。

雑所得の場合

雑所得には、青色申告のような特別控除の仕組みがありません。

そのため、利益80万円がそのまま所得金額となり、この80万円が給与所得など他の所得と合算されて課税の対象になります。

事業所得(白色申告)の場合

白色申告の場合も、青色申告特別控除は使えないため、利益80万円がそのまま所得金額になります。

雑所得との違いは、赤字が出た場合に損益通算や繰越控除が使える点にあります(詳しくは会社員が副業で赤字になったときの損益通算の可否で解説しています)。

事業所得(青色申告・65万円控除)の場合

要件を満たして65万円の青色申告特別控除を受けられると、利益80万円から65万円を差し引いた15万円だけが所得金額になります。

同じ80万円の利益でも、課税対象になる金額が80万円と15万円とでは、大きな差になることが分かると思います。

この65万円の差が、実際の税額にどう響くかも見ておきましょう。

所得税の税率は所得に応じて変わりますが、仮に所得税率が10%の人であれば、住民税(おおむね10%)と合わせて約20%です。

65万円×20%で、およそ13万円の差が生まれる計算になります。所得税率がもっと高い人であれば、差はさらに大きくなります。

なお、これは分かりやすさのための概算で、実際の税額は他の所得や控除の状況によって変わります。

65万円控除には要件がある点に注意

ただし、65万円の控除を受けるには、複式簿記による記帳と、e-Taxでの電子申告、または優良な電子帳簿の保存という要件を満たす必要があります。ここでつまずく人が多いです。

これらの要件を満たさない場合、同じ青色申告でも控除額は55万円(さらに簡易な帳簿なら10万円)にとどまります。要件の詳細は国税庁のNo.2072 青色申告特別控除で確認できます。

白色申告・青色申告の選び方の詳細は副業とフリーランスの確定申告、白色申告と青色申告はどちらを選ぶべきかで解説しています。

事業所得として青色申告のメリットを活かすには、複式簿記による記帳が前提になります。

クラウド会計ソフトを使えば、簿記の知識が浅くても、複式簿記の帳簿を作りやすくなります。


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事業所得のその他のメリット

青色申告特別控除以外にも、事業所得として認められることで使える仕組みがあります。順番に見ていきます。

赤字の損益通算・繰越ができるかどうか

事業所得であれば、赤字が出た場合に給与所得など他の所得と損益通算できる可能性があります。

また、青色申告であれば、赤字を翌年以降に繰り越して、将来の黒字と相殺できる仕組みも使えます。

家族への給与を経費にできるかどうか

事業所得で青色申告をしている場合、一定の要件のもとで、家族に支払う給与を経費にできる青色事業専従者給与という制度があります。

雑所得では、これらの制度を使うことはできません。

迷ったときの考え方

最後に、自分の副業がどちらに当たるか迷ったときの考え方を整理します。

まずは記帳を続けてみる

事業所得として扱われたい場合、順番として、まずは日々の収入と経費をきちんと記帳する習慣をつけることが第一歩です。

記帳の実態があること自体が、事業として取り組んでいることの説明材料になります。

都合よく選ぶものではないと理解する

「税制上有利だから事業所得にする」という発想で、実態を伴わないまま申告するのは避けてください。

所得区分は実態に基づいて判断されるものであり、継続性や記帳の状況を伴わない申告は、税務調査で指摘を受けるリスクがあります。

まとめ:区分は「実態」で決まり、税額に大きく影響する

事業所得か雑所得かで変わる税額の差を、判断基準から数字の比較まで順番に整理してきました。

ポイントは2つです。区分は収入額だけでなく継続性・記帳の実態などから総合的に判断されること、そして事業所得で青色申告の要件を満たせば、課税対象になる所得を大きく抑えられる可能性があることです。

副業を長く続けていきたいなら、早いうちから継続的な記帳の習慣をつけておくことが、将来の選択肢を広げることにつながります。

制度の細かい取り扱いは、最終的に国税庁の情報や税務署への確認を通して行ってください。

次の一歩は1つだけです。まずは今月の副業の収入と経費を、帳簿の形で1か月分だけ記録してみてください。

事業所得としての記帳を整えたい人は、まず無料プランから試してみるのも一つの方法です。


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監修:結城 涼太(コンテンツディレクター)
本記事は事業所得と雑所得の区分に関する一般的な情報提供を目的としたもので、個別の所得区分や税額を保証するものではありません。区分は実態に基づいて個別に判断され、シミュレーションは分かりやすさのための一例であり実際の税額を示すものではありません。制度も改正される場合があります。実際の判断は、国税庁など公式情報をご確認のうえ、税務署または税理士にご相談ください。
この記事を書いた人
早瀬 優人(若手Webマーケター/SNSグロースプランナー)
副業・SNS運用・フリーランスが専門。SNS改善300件以上、フォロワー1万→6万超の実績を持つ実践派。自身も独立後に確定申告と向き合ってきた経験から、副業・フリーランス目線の実務情報を発信している。