電力自由化(でんりょくじゆうか)とは、2016年4月1日に施行された
『住宅の場所にとらわれず、どこの電力会社とでも契約できるようになる法律』
のことをいいます。
以前は、住宅の場所によって契約する電力会社は国で定められていましたが、電力自由化によってその制約がなくなり、電気料金を下げたり、エコな電力を選択できたりといった恩恵を受けられるようになりました。
ですが、電力自由化によって問題点がいくつも指摘されているのも事実です。
そこでこの記事では、電力自由化が持つ問題点などについてお伝えします。
電力自由化の問題点5つ
電力自由化による問題点についてお伝えします。
問題点①|解約時に違約金が発生すること
契約期間中に引っ越したり、電力会社を変更したりすると違約金が発生する可能性があります。
電力自由化が施行される前までは地域によって電力会社が指定されているため、どのタイミングで引っ越しても違約金は発生しませんでした。
しかし、電力自由化によって各々が電力会社と契約するようになると、契約期間が設けられます。そのため、契約期間に解約した場合には違約金が発生してしまうのです。
問題点②|電力会社が倒産した場合一時的に電気料金が高額になる可能性があること
電力会社が倒産した場合には、一時的に既存の電力会社と契約することになるので、電気料金が比較的高額になる可能性があります。
電力自由化に伴い、電力会社の競争が予想されます。
競争することによってよりよいサービスが生まれることを期待できる反面、生存競争に敗れて倒産してしまう電力会社も現れるでしょう。
倒産した際、電力の供給が止まることはありませんが、新しい電力会社と新しく契約するまでの間、既存の電力会社と契約することになるでしょう。
そうなった場合、電気料金が比較的高額になることが予想されます。
問題点③|節約意識の希薄化が環境破壊につながる可能性があること
電気料金が安くなることによって節約意識が薄くなり、電気の大量使用につながるため、環境破壊がさらに進行する可能性があります。
電力自由化によって、電力会社は自社の電気を利用してもらうために顧客にとって魅力的なサービスを提供し始めます。
- 安い電気料金
- 電気を使えば使うほど、同じ電気量でも料金が安くなるシステム
電気使用を抑える1つの要因であった『節約意識』が薄くなってしまうため、環境破壊が心配されています。
問題点④|サイバーテロが起きる可能性が高まったこと
セキュリティ意識が甘い電力会社は、サイバーテロに利用されてしまう可能性があります。
2016年4月1日の電力自由化をきっかけに、電力会社は10会社から716社(2021年4月23日時点|参考:経済産業省)まで急増しました。
これだけの会社すべてのセキュリティが万全とは考えにくいため、「どこかの会社がサイバーテロに利用されてしまうのではないか?」という心配の声が上がっています。
電力自由化のメリット
電力自由化によるメリットについてお伝えします。
電気料金プランの多様化
自分に合った電気料金プランやサービスを提供している会社と契約することができます。
「電気を使うのは夜だけだから、夜の電気料金が安い電力会社と契約したい。」「電気料金自体は高くていいから、最大電力数が大きい会社と契約したい。」といった要望が各々あるでしょう。
電力自由化によって、自分の家庭に合った電気料金プラン、サービスを選択できるようになりました。
今後、さらに魅力的な電力会社が登場する可能性もありますので、その際にも電力自由化の恩恵を受けることができますね。
電気とITの融合によるサービスの拡充
スマートメーターのおかげで電力サービスが拡充される可能性があります。
電力の自由化に伴い、スマートメーターというインターネット上で使用電力を把握できる計測器が急速に普及しました。
この技術があるからこそ、北海道の人が沖縄の電力会社を利用できるようになります。
電力の需要が多くなる時間帯にはアラートが鳴ったり、電力の需要が少なく料金が安い時間に使えるようなシステムを導入したりすれば、電気料金の節約につながります。
このようにスマートメーターを用いてさまざまなサービスが拡充される可能性があります。
電力会社を比較する必要性
- 割引プランを使って節約したい。
- 自然エネルギーを使ったエコな電力を使いたい。
- 節電意識を高めるためにも電量の使用量が見たい。
電力会社のプランによっては、自分の細かいニーズを解決できます。
比較せずに電力会社を選んでしまうと、せっかくの電力自由化の恩恵が薄くなってしまい、後悔することになるかもしれません。
きちんと比較して、自分に合った電力プランを選択するようにしましょう。