業務効率化コンサルタントの斎藤ほのかです。
案件が2つ3つと増えてくると、締切をどこで管理しているか分からなくなります。メール、チャット、頭の中に散らばった状態です。
この段階でよくある失敗は、立派な管理システムを作ろうとして、作ること自体で力尽きることです。先に決めておきたいのは、どこまで作らないかという線のほうになります。
Notionで案件管理を始めるための最小構成を示したうえで、実際の作り方と、続けるための運用まで扱います。
案件管理が煩雑になる理由
構成の話に入る前に、なぜ管理が破綻するのかを整理します。
情報が置かれる場所が分かれている
案件の情報は、自然に散らばります。
- 依頼内容……メールやチャット
- 締切……カレンダー、あるいは相手のメッセージの中
- 報酬……見積書や契約書
- 進捗……自分の頭の中
問題は情報が多いことではなく、確認するために複数の場所を開く必要があることです。1か所にまとまっていれば、それだけで大半は解決します。
作り込みすぎると続かない
もうひとつの失敗が、最初から凝った設計にしてしまうことです。
プロパティを15個並べたデータベースは、入力するだけで疲れます。入力が面倒になった瞬間、更新されなくなり、実態と合わない表が残ります。
最小構成:データベース1つ、プロパティ4つ
ここがこの記事の中心です。最初はこれだけで足ります。
作るもの
データベースを1つ作り、プロパティを4つだけ持たせます。
- 案件名……テキスト。誰から何を、が分かる名前にする
- ステータス……選択肢。未着手/作業中/確認待ち/完了 の4つ
- 締切……日付
- 報酬……数値
以上です。追加したくなる気持ちは分かりますが、まずはこの4つで2週間運用してみてください。
なぜこの4つなのか
この4つは、日々の判断に直接使うものだけを選んでいます。
- 今日どれをやるか → 締切とステータスで決まる
- いま止まっているものはどれか → ステータスが「確認待ち」のもの
- 今月いくらになりそうか → 報酬の合計
逆に言えば、判断に使わない項目は持たなくていいということです。
「確認待ち」を独立させる理由
4つのステータスのうち、いちばん効くのが「確認待ち」です。
相手の返事を待っている案件は、自分の手が動かせません。ここを分けておかないと、進んでいない理由が自分にあるのか相手にあるのか分からなくなります。
確認待ちが増えているときは、作業量ではなく連絡の設計を見直すサインです。やり取りを短くする書き方は会議・連絡のムダを減らすチャット文章の書き方にまとめています。
実際に作る手順
構成が決まったので、作り方を追っておきます。無料で使える範囲で完結します。
ステップ1:データベースを1つ置く
新しいページを作り、そこにデータベースを1つ追加します。Notionでは / を入力するとブロックの候補が出るので、そこからデータベース(テーブル形式)を選ぶ方法があります。
この時点で名前・タグ・作成日といったプロパティが最初から入っていることが多いので、使わないものは削除しておきます。足すより先に、要らないものを外すほうが早く整います。
ステップ2:プロパティを4つに整える
残す1つ目を「案件名」にして、そこに次の3つを追加します。
- ステータス……種類はセレクト。選択肢に 未着手/作業中/確認待ち/完了 を登録する
- 締切……種類は日付
- 報酬……種類は数値。表示形式を円にしておくと合計が読みやすくなります
選択肢に色をつけられるので、「確認待ち」だけ目立つ色にしておくと、開いた瞬間に止まっている案件が分かります。
ステップ3:見え方を2つ用意する
データベースの上部から表示形式を追加できます。用意するのは2つだけです。
- 締切順のリスト……並べ替えを「締切・古い順」に設定し、絞り込みで「完了」を除外する
- ステータス別のボード……ボード形式にして、グループ化の基準をステータスにする
完了した案件を除外しておくと、リストが伸び続けません。過去の案件はボード側で見られるので、消す必要はありません。
ステップ4:締切に気づける形にする
Notionのリマインドは、案件を開いて日付を編集するときに、その日付ごとに設定する形になっています。プロパティ側で一度決めれば全件に自動で効く、という仕組みではありません。
そのため件数が増えると設定漏れが出ます。通知に頼るより、締切順のリストを毎朝開くと決めてしまうほうが確実です。
仕組みは、思い出さなくても目に入る形にしておくのが要点になります。
ステップ5:入力を1手で終わらせる
案件が増えるたびに項目を埋めるのが面倒になると、更新が止まります。
データベースにはテンプレート機能があり、ステータスを「未着手」にした状態などを型として保存しておけます。
ただし作っただけでは自動で適用されません。そのテンプレートを「デフォルト」に設定しておくと、新規作成時に最初から反映されます。テーブルの行を直接足す操作ではテンプレートが通らないので、追加は新規ボタン側から行う方法が向いています。
スマートフォンのアプリを入れておくと、移動中に状態だけ動かせます。使い方は通勤時間を副業の準備時間に変える具体的な使い方で扱った、片手で終わる作業に当たります。
運用のコツ
作った後、続けるための運用を3つお伝えします。
更新するタイミングを固定する
思い出したときに更新する形にすると、続きません。
更新の機会は2つに絞ると回ります。
- 作業を終えた直後……ステータスだけ動かす。ほかの項目は触らない
- 週に一度……締切のずれと、新しく入った案件をまとめて反映する
先に決めておくのは、この2つ目のほうです。曜日と時刻を固定しておかないと、気づいたときには実態と表がずれています。
ビューは2つまで
Notionは表示の切り替えが自由にできますが、増やすと管理対象が増えます。
- 締切順のリスト……今日何をやるかを決めるために使う
- ステータス別のボード……全体の詰まりを見るために使う
この2つがあれば、日々の判断には足ります。
案件ページに「決まったこと」を残す
各案件のページを開くと、本文を書ける領域があります。
ここに、やり取りの中で決まったことだけを箇条書きで残しておくと後から探さずに済みます。修正回数、納品形式、報酬の条件など、後から確認したくなる項目です。
契約段階で確定させておくべき項目は業務委託契約書で必ず確認する5項目で整理されています。
続かない人向けの簡易版
ここまで読んで「たぶん続かない」と感じた方へ、もっと軽い形を用意しました。
1ページのメモだけで回す
データベースを使わず、ページを1つ作って、案件を箇条書きで並べるだけの形です。
・A社/記事3本/8月10日/◯円/作業中 ・B社/バナー1点/8月5日/◯円/確認待ち
並び替えも集計もできませんが、1か所にまとまっているという最大の利点は同じです。
紙でも構いません
ツールを開くこと自体が面倒に感じるなら、机の上のノートで構いません。
案件名・締切・状態の3つが1か所に書いてあれば、目的は達成されています。ツールは手段であって、管理そのものではありません。
足りなくなってから足す
簡易版で回してみて、集計したくなったらデータベースに移す。この順番なら、無駄になりません。
最初から完成形を作ろうとすると、作る作業で止まります。
ツールが変わっても残る考え方
最後に、Notionに限らない部分をお伝えします。
判断に使う項目だけを持つ
どのツールを使う場合でも、原則は同じです。
持つのは、今日の判断に使う項目だけ。記録として残したいだけの情報は、案件ページの本文に流し込んでおけば足ります。
「止まっている理由」が見える形にする
進捗の管理で本当に見たいのは、進んでいるものではなく止まっているものです。
止まっている案件と、その理由が自分側か相手側かが分かる。この2点さえ確保できていれば、ツールは何でも構いません。
AI機能について
NotionにはAIの機能もありますが、案件管理の最小構成には必要ありません。
無料で使える範囲でも、ここまで説明した構成は問題なく作れます。AI機能は上位の有料プラン側に用意されているので、必要になってから検討すれば十分です。
なお、プランの構成や機能の範囲は変わることがあります。実際に契約する前にNotionの料金ページで最新の内容を確認してください。
音声や文章の処理にAIを使う場合の注意点はAI文字起こしを使った議事録・字幕作成の副業で扱っています。クライアントの情報を扱うときは、規約と設定の確認が先です。
まとめ:4つのプロパティから始める
作るものを、もう一度だけ確認します。
データベースを1つ作り、案件名・ステータス・締切・報酬の4つだけを持たせる。ビューは2つまでにして、更新のタイミングを先に決めておく。これで日々の判断には足ります。
管理表の価値は情報量ではなく、開いたときに次の判断ができるかどうかで決まります。
いま抱えている案件を、紙でもメモアプリでもいいので1か所に並べて、それぞれの締切と状態を書き足す。
Notionに移すのは、その形で2週間続いてからで足ります。作る前に、続くかどうかを先に確かめる。順番はこちらが先です。
作業時間そのものの組み方は副業と本業を両立する人のスケジュールの組み方にまとめています。










